多日射条件時の茎数増加が促成栽培トマトの生育・収量に及ぼす影響

タイトル 多日射条件時の茎数増加が促成栽培トマトの生育・収量に及ぼす影響
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門
研究課題名
研究期間 2012~2014
研究担当者 岩﨑泰永
安東赫
鈴木真実
発行年度 2018
要約 トマト促成栽培において、多日射条件下における側枝追加伸長による収量の増加の要因は、面積あたりの花房数および着果数が増加することによって果実への分配率が高まることであり、光利用効率の向上や積算受光量の増加によるものではない。
キーワード 施設園芸、トマト、側枝、物質生産、乾物分配率
背景・ねらい 促成作型の長期年1作栽培では、栽培期間中に気象条件が大きく変化し、特に3月以降は日射量が大きく増加する。増加した日射量を活用するため、一部の生産者は側枝を追加伸長することによって面積あたりの茎数を増加させ、栽植密度を高めることによって収量増加を試みているが必ずしも収量が増加しない場合があり問題となっている。これは茎数増加(栽植密度の増加)と収量増加の因果関係が十分に明らかになっていないこと、品種の違いによる効果の差異が明らかになっていないことがその要因である。海外品種を利用したCockshullら(1995、2001)の報告では、側枝の追加伸長による茎数の増加は果実の大きさを調節する効果があるとしており、収量増加には言及していない。そこで、側枝追加伸長による収量増加技術を確立するための基礎的な知見を得ることを目的として、国産および海外品種を供試し、側枝追加伸長による茎数増加が生育や収量に及ぼす影響を物質生産の観点から解析するとともに、シミュレーションモデルを作成して、側枝の追加伸長を開始する時期が収量と受光量に及ぼす影響を推定する。
成果の内容・特徴
  1. 茎数増加による増収効果は品種によって異なる。日射が増加して光合成量(ソース能)が増加する条件下で、「りんか409」は茎数増加によって面積あたり花数が増加することによってシンク能が増加して可販果収量の増加に結びつく。一方、「富丸ムーチョ」および「YAHARA」では果実の大きさや着果数の変化によってシンク能が自律的に調節されるので、茎数増加による可販果収量増加の効果は小さい(表1、図1)。
  2. 側枝伸長による茎数増加は、光利用効率や積算受光量には影響がなく、面積あたりの花房数および着果数が増加することによって乾物の果実分配率が高くなり、収量が増加する(表1)。
  3. 栽培実験で得られた物質生産的パラメーターおよび気象データ(ハウス内日射量および気温、図2)を使い、側枝伸長開始時期を11月1日および1月1日として収量および受光量の推移をシミュレートしたところ、11月1日から伸長開始しても1月1日から伸長を開始した場合と受光量の差はなく、伸長開始時期の違いによる収量の差はみられない(図3)。このことは日射の少ない時期に側枝を追加伸長しても必ずしも収量が増加しないことを示す。
成果の活用面・留意点
  1. 愛知県武豊町において促成栽培の作型で10月中旬定植、1月~6月まで収穫した実験結果より得られた結果である。
  2. シミュレーションモデルは栽培実験で得られた光利用効率、時期別の乾物分配率、葉の展開速度、花房発生速度を利用して作成、ハウス内気温、日射量の数値は栽培実験時のデータを利用した。
  3. シンク‐ソースバランスを考慮して、側枝を伸長させるタイミング(時期)や側枝を伸長させる株の割合を適切に選定することが重要である。本実験ではハウス内日射量増加に転じる1月中旬から側枝伸長を行った(図2)。
  4. 愛知県武豊町において、ポリオレフィンフィルムを展張した鉄骨ハウス(間口4.5m×2連棟,奥行き24m、うち栽培部分は18m、軒高3.6m南北棟)において実施した栽培試験の結果である。温度管理は夜間最低温度13℃、日中最高気温30℃を制御初期値として適宜変更した。相対湿度は気温25℃以上の場合に75~80%となるように制御し、CO2濃度は天窓が閉じた状態では、最低濃度を終日800ppm、天窓が開いて換気が行われている状態では、最低濃度は400ppmとして、液化CO2を用いて制御した。栽植密度(茎数)は当初3.05本/m2とし、茎数増加後は4.58本/m2とした。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029933
カテゴリ 温度管理 栽培技術 施設園芸 トマト 品種

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