次世代で完全甘ガキの獲得が期待できる非完全甘ガキ品種

タイトル 次世代で完全甘ガキの獲得が期待できる非完全甘ガキ品種
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究課題名
研究期間 2014~2017
研究担当者 尾上典之
小林省蔵
河野淳
佐藤明彦
発行年度 2018
要約 カキの甘渋性DNAマーカー領域の多型解析により甘渋性遺伝子型を推定することで、次世代で完全甘ガキ個体の獲得が期待できる非完全甘ガキ品種を選定できる。本法で選定した17品種を交雑親に用いることで、完全甘ガキの育種効率が高まる。
キーワード 甘渋性、カキ、高次倍数体、品種識別、SSRマーカー
背景・ねらい カキにおいて、種子の有無に関わらず樹上で自然脱渋する完全甘ガキ性は劣性形質であり、単一遺伝子(AST)座で制御されている。カキは一般に六倍体であることから、完全甘ガキ個体を獲得するには、6つの劣性遺伝子(ast)を揃える必要がある。したがって、完全甘ガキの品種改良では、完全甘ガキ同士の交雑に偏る傾向があるが、遺伝的変異が狭い完全甘ガキ同士の交雑だけでは近交弱勢が進むため、非完全甘ガキを交雑親として利用する必要がある。非完全甘ガキを完全甘ガキ育種の交雑親として用いる場合、後代で完全甘ガキ個体を獲得するためには、ast遺伝子を3コピー以上持つ非完全甘ガキを選定することが必要である。こうしたなか、AST遺伝子座近傍のDNAマーカー領域に増幅断片長の多型があり、この多様な多型情報を元に、ast遺伝子および優性(AST)遺伝子のコピー数を推定できることが報告されている(Konoら、2016)。そこで、本研究では非完全甘ガキ品種について甘渋性DNAマーカー領域の多型を解析し、次世代で完全甘ガキの獲得が期待できる非完全甘ガキ品種を選定する。
成果の内容・特徴
  1. 六倍体の非完全ガキ125品種と完全甘ガキ57品種・系統を用いて、甘渋性DNAマーカー(神崎ら、2010)によるPCR増副産物の断片長多型解析を行うと、astおよびAST遺伝子に連鎖した領域から、それぞれ5および21種類の増幅断片長多型が検出される。
  2. 非完全甘ガキのうち、17品種においてはast遺伝子に連鎖した増幅断片のピークを3つ持つ(表1:検出されたastピーク数=3)。検出されたピーク数を、遺伝子の最低コピー数として捉えることで、これらの品種はast遺伝子を3コピー以上持つと推定される(図1、表1)。
  3. ast遺伝子を3コピー以上持つと推定した非完全甘ガキ17品種のうち、AST遺伝子に連鎖した増幅断片のピークを3つ持つものは、「エボー」や「油壺」など5品種である(表2)。これらの品種のAST/ast遺伝子型はAAAaaa(A:AST,a:ast)と確定でき、完全甘ガキとの交雑により次世代で5%の完全甘ガキの分離が期待できる。
  4. ast遺伝子を3コピー以上持つと推定した非完全甘ガキ17品種のうち、AST遺伝子に連鎖した増幅断片のピークを1または2つ持つものは、「国富」や「吉田御所」など12品種である(表2)。これら品種の遺伝子型はAAAaaa、AAaaaa、またはAaaaaaと推定されるため、完全甘ガキとの交雑により次世代で5~50%の完全甘ガキの分離が期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. AST/ast遺伝子に連鎖した増幅断片の合計ピーク数が5以下の非完全甘ガキは、AST/ast遺伝子型を確定できない。そのため、完全甘ガキとの交雑実生集団を育成し、完全甘ガキの分離を調べることでAST/ast遺伝子型を確定できる。
  2. 甘渋性DNAマーカーでは検出できない種類のAST遺伝子が存在する場合は、AST遺伝子の最低コピー数を少なく見積もることがある。
  3. 甘渋性DNAマーカーは特にAST遺伝子において豊富な多型を検出できることから、非完全甘ガキの品種識別にも有効である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029912
カテゴリ 育種 かき DNAマーカー 品種 品種改良

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