カンキツグリーニング病原細菌の高効率人工培養法

タイトル カンキツグリーニング病原細菌の高効率人工培養法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2015~2018
研究担当者 藤原和樹
藤川貴史
発行年度 2018
要約 新規に開発したカンキツグリーニング病原細菌(CLas)培地により、人工条件下でCLasを再現性よく高効率に培養できる。さらに、本培地にオキシテトラサイクリンを添加することで、CLasの増殖促進作用が認められる。
キーワード Candidatus Liberibacter asiaticus、人工培養法、カンキツグリーニング病
背景・ねらい カンキツグリーニング病は世界のカンキツ生産に甚大な被害を及ぼす植物検疫上の重要病害である。日本では沖縄県および鹿児島県徳之島以南の3島で発生しているが、鹿児島県においては緊急防除や根絶事業の実施、沖縄県においては本病多発生地域から無病地域への移行といった公的措置により発生地域が限定できるよう不断の努力が続けられている。そこで、植物検疫行政においてカンキツグリーニング病罹病樹を見逃すことなく高精度に検出できる技術を開発することで、国内のカンキツ産地を守り、カンキツ産業を支援することができると考えられる。このようなニーズに答える要素技術として、カンキツグリーニング病原細菌Candidatus Liberibacter asiaticus(CLas)の人工培養法を利用した早期検出技術の開発が考えられる。これまでにカンキツ粗汁液を利用した人工培地の報告があるものの、粗汁液成分や培養条件が一定でないため再現性が低く実用化には至っていない。また、CLasの選択培養が可能な抗生物質の選抜も求められている。そこで、CLasの培養条件および抗生物質への感受性を明らかにすることで、CLas人工培養法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. KEGGデータベースを利用したCLasと近縁細菌種であるα-proteobacteria属細菌群との代謝経路の比較解析の結果から、CLasを含むCa. Liberibacter属細菌では6つの代謝経路(糖代謝関連経路、脂肪酸代謝経路、分枝鎖アミノ酸代謝経路、ヒスチジン代謝経路、芳香族アミノ酸代謝経路、およびポリアミン生合成経路)が特異的に欠損していることがわかる(図1)。
  2. 酵母エキスやデンプンを含む培地に、前に述べた欠損代謝経路の主要産物9項目(グルコース、補酵素A、バリン、イソロイシン、プロリン、オルニチン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジン)もしくはその誘導体を補完した培地を利用することでCLasの培養が可能になる。
  3. カンキツグリーニング病罹病樹の葉から調整した粗汁液を本培地に添加し、25℃で培養すると、培養2週間後にCLasの増殖が認められる。各種抗生物質のうち、オキシテトラサイクリン1000ppmを培地に添加すると、雑菌の繁殖を抑制するとともに、CLasの増殖促進が認められる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. カンキツグリーニング病罹病が疑われるカンキツ樹等について、培地上でのCLasの培養の有無による感染の確認が可能となり、早期発見技術の開発に活用される。したがって、本病感染樹の早期発見による国内カンキツ産地の保護に貢献できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029893
カテゴリ 植物検疫 データベース 繁殖性改善 防除 その他のかんきつ

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