倒伏したソルガムの糖含量と糖組成に影響する遺伝子発現

タイトル 倒伏したソルガムの糖含量と糖組成に影響する遺伝子発現
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2018
研究担当者 水野浩志
川東広幸
春日重光
発行年度 2018
要約 ソルガムは倒伏すると糖の代謝や輸送に関わる特定の遺伝子が強く発現し、そのため茎部の糖含量が低下し、更に糖組成が主にショ糖からグルコースとフルクトースに変化する。これらの遺伝子を用いて茎部の糖の蓄積と分解を制御することが期待できる。
キーワード 倒伏、糖含量、糖組成、糖代謝、糖輸送
背景・ねらい ソルガムはショ糖を茎部にため込む特性がある。ショ糖はバイオ燃料の原料になるため、ショ糖をより多く生産できる品種の開発が求められている。ソルガムは土壌が濡れているときに非常に強い風が吹くと根から倒伏する。倒伏によって糖含量が減少する事が経験的に知られているが、この現象に関わる遺伝子は明らかになっていない。
そこで本研究では、倒伏したソルガムと無傷のソルガムの間での糖含量と糖組成の比較、及び茎における網羅的な遺伝子発現の比較を行うことで、糖含量と糖組成に影響を与える遺伝子を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 倒伏したソルガムでは、茎部の糖含量とデンプン含量が低下し、ショ糖に比べてグルコースとフルクトースの割合が上昇する(図1)。
  2. 無傷のソルガムでは、ショ糖は細胞間隙や液胞などに蓄積されるか、デンプン合成のために使用される。そのための糖類の輸送に関わるSWEETファミリー、グルコース-6-リン酸トランスロケーターをコードする遺伝子が強く発現する。さらにデンプン合成に関係する遺伝子や、糖の蓄積により上昇した浸透圧を下げるための水分子を輸送するアクアポリンの遺伝子も強く発現する(図2上)。
  3. 倒伏したソルガムでは、遺伝子発現量が上昇したインベルターゼによりショ糖がグルコースとフルクトースに分解される。これにより相対的にグルコースとフルクトースの割合が増える。更にこれらの糖類の輸送に関わるSWEETおよびTMTファミリーの遺伝子の発現も増加する。また、ショ糖やデンプンの代謝に関連する遺伝子のうち、 特に代謝経路の不可逆反応を触媒し、代謝経路の第1段階に位置する酵素をコードする遺伝子(ヘキソキナーゼ、フルクトキナーゼ、アミラーゼ)の発現が倒伏によって有意に増加する(図2下)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で明らかになった糖の代謝や輸送に関連する遺伝子を用いることで、茎部の糖の蓄積と分解の制御が期待できる。
  2. 高糖性の品種と低糖性の品種間でこれらの遺伝子の多型と糖含量の関連について調べ、遺伝資源として利用していくことが重要である。
  3. 圃場で倒伏した際におこる光合成の阻害や冠水など、倒伏が影響する他のストレスとの関係について調べることも重要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029844
カテゴリ 遺伝資源 ソルガム 品種 輸送

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