ダイズ後の水稲栽培の湛水はマメシンクイガ幼虫が死滅するのに十分な温度と期間がある

タイトル ダイズ後の水稲栽培の湛水はマメシンクイガ幼虫が死滅するのに十分な温度と期間がある
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究課題名
研究期間 2015~2018
研究担当者 竹内博昭
遠藤信幸
渋谷和樹
発行年度 2018
要約 マメシンクイガ幼虫の生存率は水没により次第に低下するが、その程度は温度と期間により異なる。代かき時から水没した場合、栽培初期に幼虫の生存確率は大きく低下する。水稲栽培の湛水全体では幼虫を死滅させるのに十分な温度と期間があり、効果的な耕種的防除となりえる。
キーワード 輪作、湛水、耕種的防除、積算温度、マメシンクイガ
背景・ねらい マメシンクイガは年1化のダイズ害虫である。幼虫は莢の中で子実を食害して終齢に達し、その後圃場の土壌中で繭を作り翌年夏までの長期間幼虫態を保つ。本種が多発したダイズ圃場で次年以降の作付けを水稲、ダイズの順とした場合には、水稲後のダイズの被害が減少することが知られている。このことから湛水による水没が本種幼虫の生存率を低下させている要因の一つと考えられる。そこで、温度条件が異なる条件下で幼虫の水没期間と生存率との関係を調査してモデル化することにより、水稲作が本種幼虫の生存に与える影響を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 本種の繭を室内恒温条件(5~25℃、のべ867頭)で水没させると、温度が高いほど、また、水没期間が長いほど生存率は低下する(図1)。繭中の幼虫は、繭内に留まっていることが多いことから、湛水後に幼虫が水田内から畦畔に移動する可能性は低い。
  2. 上の室内恒温条件における温度、日数と幼虫の生死との関係にロジスティックモデルをあてはめると、データ点に沿った右下がりの生存確率の曲線が得られる(図1)。この曲線からは、水没中の温度が2.86℃より高いと生存率に影響し、積算温度が854日度を超えると生存確率が5%以下に、1137日度を超えると1%以下になると推定される。
  3. 野外条件で幼虫を水没させた場合の生存率は、推定値の曲線の下にばらついて分布する(図2)。一方で水没させていない区(対照区)の生存率のばらつきも大きく、水没以外にも死亡要因があると推察される。水没幼虫の生存率を対照区の生存率で補正すると、補正しない場合より曲線の上に分布するデータ点は増えるが推定値との差は小さい。これらのことから、推定式は野外において生存率を過大に推定することはあるが、過小に推定することは少ない。
  4. 本種が多発生した連作ダイズ圃場に水稲を栽培し、再びダイズにした初年は圃場内土壌から成虫の羽化は検出されなくなる(図3)。このときの水稲作では、代かき後43日に積算温度が854日度を超えることから、中干前に幼虫の生存確率は大きく低下する。
成果の活用面・留意点
  1. 輪作を推奨する場面で耕種的な防除対策の科学的根拠として活用できる。
  2. 水稲後初年のダイズであっても多発圃場が近接する場合には、移入虫による被害が生じる可能性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029786
カテゴリ 害虫 水田 水稲 大豆 ばら 防除 マメシンクイガ 輪作

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