大規模温暖地水田作経営における長ネギの機械化栽培体系の導入効果

タイトル 大規模温暖地水田作経営における長ネギの機械化栽培体系の導入効果
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究課題名
研究期間 2016~2017
研究担当者 宮武恭一
発行年度 2018
要約 大規模温暖地水田作経営における長ネギ栽培に、機械化による規模拡大および複数品種の栽培による出荷期間の延長を組み合わせた機械化栽培体系を導入することで、長ネギ部門の労働生産性が向上し、労働報酬の増加と周年農業従事する担い手確保が可能になる。
キーワード 水田作、集落営農、長ネギ、機械化、担い手確保
背景・ねらい 大規模水田作経営では農業収入の増加と年間を通した就業機会の確保のために野菜作を導入する事例が増えているが、労働集約的な野菜作では支払賃金の負担が大きく、赤字部門となってしまうことが少なくない。そこで、80ha規模の集落営農の結成を契機として、温暖地の大規模水田作において長ネギ栽培を導入し、その後に機械化栽培体系へと転換した千葉県のA営農組合を対象として、長ネギの機械化栽培体系の特徴と経営成果を分析し、機械化栽培体系の導入効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 機械化栽培体系では、水稲育苗ハウスで自家育苗したセル苗を歩行式移植機で溝床移植する。土寄せや追肥には同時施肥機付きの乗用管理機を、収穫には自走式ネギ収穫機を用いることで本田作業の省力化を図る(表1)。また、複数品種の栽培と夏ネギの被覆栽培によって長期出荷を行うとことで、就業機会を増すと同時に農業機械の稼働率を上げ、季節ごとの市場価格変動リスクを分散させる。A営農組合では、8品種を用い、12月から7月までの長期出荷を行っている(表2)。
  2. 水田での長ネギ栽培では排水性改善が必須であるが、排水性が確保されれば、水田土壌は肥沃度が高く、夏越しの際の干ばつの影響も軽減されることから、生育が揃い、品質向上が期待できる。A営農組合では、暗渠施工が終わった水田圃場で小麦-大豆を2年栽培した後、補助暗渠(モミサブロー)を入れ、さらに弾丸暗渠を入れて排水性を改善したのち、長ネギの栽培を行っている。
  3. A営農組合では(表3)、2013年に畑0.4haを含む1.5haで売上520万円だったのが、夏ネギ導入による出荷期間延長で作付1.8ha、売上892万円、機械化栽培体系導入で作付2.2ha、売上1,327万円に増加した。さらに、連作による地力低下と干ばつ被害による品質低下対策で畑栽培を中止し、水田中心の栽培に転換した2017年は、出荷等級が上がり、1,557万円の売上が得られている。
  4. 機械化栽培体系の導入は労働報酬を増加させる。A生産組合では長ネギ部門の賃金が加わることで組合員への支払額が33%増加した(図1)。また長ネギ部門では播種、定植、土寄せ、防除、収穫と年間を通じた作業があり、A営農組合では水田部門中心とした60歳代の担い手2名に加えて、新たに40代1名、50代1名、60代1名の担い手が確保できた(年間1,700時間以上農業従事した男性、うち長ネギ部門の年間労働時間は1,331~1,549時間)。
  5. 長ネギの導入で農産物売上は23%増加したが、多額の労働報酬と長ネギ機械化体系導入への投資(1,000万円)により、長ネギ部門収益は2013年に520万円、2016年に271万円の赤字であった。しかし、品種の組み合わせによる出荷期間延長と地力改善による品質向上が達成された2017年には売上1,557万円、生産費1,599万円とほぼ収支が均衡した。
  6. 以上のように機械化による規模拡大および複数品種の栽培による出荷期間の延長を組み合わせた機械化栽培体系を導入することで、長ネギ部門の労働生産性が向上し、労働報酬の増加と周年農業従事する担い手確保が可能になる。
成果の活用面・留意点
  1. 温暖地大規模水田作において野菜作導入をめざす集落営農への活用が期待される。
  2. 投資リスクや労働力不足対策には農機レンタルや育苗・選果作業の受委託が有効である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029784
カテゴリ 育苗 機械化 機械化体系 規模拡大 経営管理 栽培技術 栽培体系 収穫機 出荷調整 省力化 水田 施肥 ねぎ 排水性 播種 品種 防除

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