雇用型農業法人における女性従業員の定着に向けたポイント

タイトル 雇用型農業法人における女性従業員の定着に向けたポイント
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究課題名
研究期間 2016~2018
研究担当者 澤野久美
澤田守
発行年度 2018
要約 女性従業員の定着には、性別を問わない権限付与といった動機付け方策が重要である。併せて、ワークライフバランスを考慮した就業条件整備や女性従業員同士のサポート体制等の職場改善方策、消費者交流等の農業特有の動機付け方策を実施する必要がある。
キーワード 雇用型農業法人、女性従業員、人材定着、動機付け、ワークライフバランス
背景・ねらい 新規就農における雇用就農者の割合が増加する中で、雇用型農業法人は、就農を希望する若年女性の受け皿となっている。販売対応だけではなく、農業生産部門において、女性を積極的に採用している農業法人が増えてきているものの、従業員の離職率が高い課題を抱えている。そこで、女性従業員の人材育成を積極的に進め、なおかつ離職率の低い事例への聞き取り調査から、雇用型農業法人における女性従業員(正社員)の定着に向けたポイントを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 調査対象の3法人では、ワークライフバランスを考慮した短時間勤務等の就業条件の整備等の女性を意識した職場改善方策だけではなく、仕事のやりがいを引き出す動機付け、キャリアパスの提示といった従業員に共通する(性別を問わない)方策を実施している(表1)。
  2. 女性従業員は、やりがいのある仕事を与えられている、(性別に関わらず)権限と責任が付与されていると感じており、性別に基づく配置ではなく、本人の希望や得意分野を活かした権限付与が重要な動機付けになっている。また、短時間勤務等のワークライフバランスを考慮した取り組みが肯定的な評価をされており、女性が活躍する法人では、女性が働きやすい就業条件を整備して定着を図っている。その他、同年代の女性が社内にいて、相談しやすいことに対しても評価が高く、社内コミュニケーションの充実と女性従業員同士のサポート体制づくりが求められている(表2)。
  3. 一方で、女性従業員にとっては、性別や経験年数を理由に任せてもらえない作業があることや、技術・作業面でのサポート体制が不十分なこと等が、育成面での不満となっている(表2)。ただし、作業への男性のサポートがある場合には肯定的な評価が得られていることから、サポートの充実とともに、十分なコミュニケーションにより、社員の意欲や能力を見極めながら、配置や業務内容を決定する必要がある。
  4. 以上の結果をまとめた女性従業員の定着に向けたポイントを表3に示す。採用前には、トイレの設置等の環境改善、短時間勤務制度等に関する情報収集や整備を行い、採用時には、女性の希望する業務内容と自社の配置計画とのマッチングを熟慮する必要がある。また、可能であれば、女性を複数採用することが望ましい。採用後は、性別を問わない形での権限付与や仕事のやりがい等の動機付け方策に関して配慮するとともに、消費者との交流等、農業の特色を活かした動機付け方策を実施していく必要がある。
成果の活用面・留意点
  1. 農業の未来をつくる女性活躍経営体100選(WAP100)に選定された3法人(水田作、施設園芸、養豚)への女性従業員調査に基づくものである。
  2. 農業法人の経営者が若年層の女性を正社員として雇用し、育成する際の参考となる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029783
カテゴリ 経営管理 施設園芸 人材育成 水田

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