有機栽培・転換中・慣行栽培の土壌に添加した有機物からの窒素無機化量の違い

タイトル 有機栽培・転換中・慣行栽培の土壌に添加した有機物からの窒素無機化量の違い
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2017
研究担当者 唐澤敏彦
長岡一成
須賀有子
浦嶋泰文
橋本知義
発行年度 2018
要約 有機栽培・転換中・慣行栽培の土壌に米ぬかを加えて4~8週間培養し、窒素無機化速度を比較すると、慣行より有機栽培の土壌で窒素無機化が早く、転換中土壌には早いものと遅いものがみられる。ボカシや畜ふん堆肥を添加した際の窒素無機化の遅速は、米ぬかによる評価結果と一致する。
キーワード 有機栽培、転換期、窒素無機化、米ぬか、ボカシ
背景・ねらい 有機栽培に転換した後、慣行栽培より低収となる事例がみられ、その原因の一つに、窒素栄養の不足が示唆されている。有機栽培に転換した直後の圃場では、土壌微生物の働きが不十分であるため、施用有機物からの窒素の無機化が遅く、その結果、窒素不足となっている可能性も考えられる。
そこで、本研究では有機栽培、転換中(有機栽培3年未満)、慣行栽培の土壌で、施用有機物からの窒素の無機化に違いがあるのかを明らかにすることを目的に、つくば市内の露地野菜農家圃場から、有機栽培、転換中、慣行栽培の土壌を採取し、モデル有機物として米ぬかを添加して培養し、有機栽培、転換中、慣行栽培の土壌の窒素無機化能を比較する。また、農家が利用することの多いボカシや畜ふん堆肥などの分解性(その土壌における窒素無機化の遅速)が、米ぬかで評価した結果(米ぬかからの窒素無機化の遅速)と一致し、有機栽培の土壌で早いかどうかを確認する。
成果の内容・特徴
  1. 有機農家A、Bの6箇所の有機栽培圃場(A1~A3、B1~B3)、有機農家A、B、Cの3箇所の転換中の圃場(A4'、B4'、C1')、有機農家A、Bに隣接する慣行農家の3箇所の慣行栽培圃場(A5"、B5"、B6")から採取した土壌に米ぬかを添加し(窒素10mg相当の米ぬかを生土20gと混合)、畑状態、30℃で静置培養する。4週間、8週間後に米ぬかから無機化した窒素は、有機栽培の土壌で多く、慣行栽培の土壌で少ない。転換中の土壌には、有機なみに高いA4'、C1'と、慣行なみに低いB4'がみられる(図1)。
  2. 有機栽培のA1土壌と慣行栽培のA5"土壌に各種有機質資材を添加して静置培養し、窒素の無機化速度を調べると、3つの農家の用いるボカシ、ナタネ油かす、乾燥鶏ふん、豚ぷん堆肥は、米ぬかで窒素の無機化が早いと判定された有機土壌で、窒素の無機化が早く進む(図2)。一方、窒素が無機化しにくい牛ふん堆肥では、有機土壌の方が無機態窒素の少ない時期がある。
  3. 以上より、慣行栽培の土壌(転換初年目の土壌に該当)では、有機栽培の土壌よりも、施用した有機物から窒素が無機化するのに時間がかかる場合があり、それが転換初期の低収と関係している可能性が考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 適用する土壌、有機物を使った予備試験が必要であるが、添加した米ぬかからの窒素無機化速度は、施用有機物が分解しやすく、有機物から窒素が速やかに供給される土壌か否かの評価に使える可能性がある。
  2. 本試験で用いた土壌は全て黒ボク土で、いずれも茨城県つくば市内の3km四方内に点在する露地野菜栽培農家の有機栽培圃場、有機栽培転換中圃場、慣行栽培圃場より採取している。
  3. 本試験で用いた米ぬかは、生米ぬかである。本試験で用いたボカシは、茨城県つくば市内の有機農家ISとTN(いずれも、米ぬか、籾殻、魚かす、糖蜜などから作成)およびTK(鶏ふんを主体に作成)と石岡市内の有機農家HR(米ぬか、油かす、炭、苦土石灰などから作成)が栽培に利用しているものである。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029767
カテゴリ 乾燥 なたね 野菜栽培

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