牛パピローマウイルス2型感染が牛の筋線維芽細胞腫の原因となる

タイトル 牛パピローマウイルス2型感染が牛の筋線維芽細胞腫の原因となる
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究課題名
研究期間 2017~2018
研究担当者 畠間真一
村上賢司
山本慎二
門田耕一
発行年度 2018
要約 牛の結膜に形成された筋線維芽細胞腫は、ヒトや他の動物の筋線維芽細胞腫と類似した組織学的、免疫組織学的、超微形態的特徴を持つ。本病の原因はこれまで不明であったが、原因解析により牛パピローマウイルス2型感染との関連性が強く示唆される。
キーワード 筋線維芽細胞腫、牛パピローマウイルス2型、牛、結膜、良性腫瘍
背景・ねらい 筋線維芽細胞腫はヒトやネコ、ウマ、ウシに発生する間葉系細胞由来の腫瘍である。人ではヒトヘルペスウイルス8型やエプスタインバーウイルス感染と関連して発症するが、その他の動物では原因が明らかにされていない。牛ではこれまで腹部、外陰部、頸部での発生報告があるが、その他の部位での発生報告は初めてとなる。本研究は、牛の結膜の筋線維芽細胞腫の野外発生事例に遭遇し、その臨床的、組織学的、免疫組織化学的、超微形態的な特徴を明らかにするとともに、遺伝子解析による原因解明を目的としている。
一方、牛パピローマウイルス(BPV)は牛乳頭腫症など上皮系細胞の腫瘍の原因ウイルスとして一般に知られている。本研究において、筋線維芽細胞種の形成とBPV感染との関連性について明らかする。
成果の内容・特徴
  1. 黒毛和種、雄、8歳齢の牛の結膜に形成された新生物の肉眼所見(図1)。
  2. 組織学的に紡錘形の細胞とコラーゲン繊維が主体をなす腫瘍である(図2A)。また臨床的、組織学的特徴から良性の腫瘍と診断できる。
  3. 免疫組織化学染色によって、血管平滑筋細胞(図2B矢印)だけでなく紡錘形細胞の細胞質がα平滑筋アクチン(SMA)陽性となる(図2B)。また紡錘形細胞は、デスミン抗体(骨格筋のマーカー)に対して陰性である(図2C)。
  4. これらの検査結果および電顕的超微形態的特徴は、過去に報告された腹部、外陰部、頸部の筋線維芽細胞腫の特徴と一致しており、本腫瘍は筋線維芽細胞腫と診断できる。
  5. 腫瘍細胞の核は、BPV E2(腫瘍化と関連するウイルス由来転写調節遺伝子)抗体に対して陽性となる(図2D)。
  6. PCR解析ではBPV遺伝子が増幅される(図3)。過去に診断された頚部と外陰部の筋線維芽細胞腫からも同様にBPV遺伝子が増幅され、BPV感染との関連が強く示唆される。
  7. 遺伝子解析の結果、増幅された遺伝子は全て2型のBPV(BPV-2)である。
成果の活用面・留意点
  1. 本腫瘍の主な原因が感染性要因であるため、適切な衛生対策で被害を軽減できる可能性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029763
カテゴリ なす

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