タイの養豚場における豚インフルエンザウイルスの変遷

タイトル タイの養豚場における豚インフルエンザウイルスの変遷
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究課題名
研究期間 2011~2017
研究担当者 峯淳貴
阿部遥
竹前喜洋
谷川太一朗
常國良太
内田裕子
西藤岳彦
発行年度 2018
要約 豚インフルエンザウイルスのHA遺伝子への変異の蓄積あるいは抗原性の異なるウイルスの侵入が、養豚場内でのウイルスの変遷に重要である。
キーワード 豚インフルエンザ、サーベイランス、遺伝子解析、抗原変異、タイ
背景・ねらい 豚インフルエンザのサーベイランスは、養豚場における豚インフルエンザによる経済的損失を緩和することに加え、新たなパンデミックウイルスの出現を監視する上で重要である。タイにおいては、2009年に人で流行したH1N1亜型パンデミックインフルエンザウイルス[A(H1N1)pdm09]が養豚場に侵入し、既存のウイルスと遺伝子再集合を起こしていることが分かっている。本研究では、2011年から2017年にかけて行った継続的なサーベイランスを通じて分離された豚インフルエンザウイルス(IAV-S)を遺伝的および抗原的に解析することで、養豚場内で豚インフルエンザウイルスがどのように変遷したかを明らかにすることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 本成果は、豚インフルエンザウイルスが実際に野外でどのように多様性を獲得し、進化していくかを示すものである(図)。
  2. 2011年から2017年にかけて、タイChonburi県の2戸の養豚場(B、C)とChachoengsao県の2戸の養豚場(D、O)での継続的なIAV-Sの監視により、82株のH1N1亜型IAV-Sと87株のH3N2亜型IAV-Sの計169株のA型インフルエンザウイルスが分離された。
  3. H1N1亜型IAV-Sは全てA(H1N1)pdm09由来であり、H3N2亜型IAV-Sの内部遺伝子も全て遺伝子再集合によりA(H1N1)pdm09由来の遺伝子に置き換わっている。
  4. 呼吸器症状を示す豚が頻繁に報告されていたB農場とD農場において、監視期間中にH1N1亜型ウイルスおよびH3N2亜型ウイルスの抗原性が変化している。一方でC農場並びにO農場においては同一の抗原性を持つウイルスが散発的に分離された。
  5. 抗原性の変化が認められた2つの農場では、抗原性の異なる2種類のウイルスが侵入することと、侵入したウイルスのHA遺伝子に変異が蓄積することによりそれまでのウイルスとは異なる抗原性を獲得したウイルスが分離されている。
成果の活用面・留意点
  1. 異なった遺伝子や抗原性を持つ豚インフルエンザウイルスが養豚場内で出現することは、養豚場における長期的な損失増大や、新たなパンデミックウイルスの出現につながる可能性がある。
  2. 分離したIAV-Sの遺伝子配列をオンラインデータベース上に公開することで、新しく出現したウイルスの情報を世界中の研究機関と共有することが可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029745
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