ネブライザにより霧状にしたA型インフルエンザウイルスの豚感染実験系

タイトル ネブライザにより霧状にしたA型インフルエンザウイルスの豚感染実験系
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究課題名
研究期間 2015~2017
研究担当者 竹前喜洋
常國良太
内田裕子
西藤岳彦
発行年度 2018
要約 ネブライザによって霧状にした豚インフルエンザウイルス(IAV-S)を含む培養液を豚の呼吸器に感染させるための実験系である。本実験系により、IAV-Sを投与した全ての豚で感染を成立させることができる。
キーワード 豚、インフルエンザウイルス、ネブライザ、感染実験
背景・ねらい 豚インフルエンザウイルス(IAV-S)の豚での感染過程を調べるためのウイルス投与には、通常、経鼻投与又は気管内投与法が用いられている。しかしながら、経鼻投与の場合は、接種材料を豚が飲み込んでしまうことにより感染効率が不安定なこと、また、気管内投与の場合は、経鼻投与法に比べて鼻腔からのウイルス排泄量が少ないなど感染の程度が不安定であることが指摘されている。そこで、より多くのIAV-Sを安定的に呼吸器全体に感染させるための方法としてネブライザ(エアロゾル産生器)を用いた投与方法が提案されてきた。しかしながら、その有用性を調べる実験はほとんど行われていない。本実験では、様々な遺伝的系統のIAV-Sを用いてネブライザによる豚感染実験を実施し、その有用性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ネブライザ法の有用性を調べるためのIAV-Sとして9株(A(H1N1)pdm09ウイルス:2株、古典的H1亜型IAV-S:3株、季節性ヒト型H3N2亜型IAV-S:2株、北米の豚で流行しているトリプルリアソータント(TR)H3N2亜型IAV-S:2株)を用いる。
  2. 超音波式ネブライザにより霧状になったIAV-Sを含む培養液(直径1~8μm)を豚の呼吸により吸入させることができる(図1)。
  3. 投与後14日間の観察期間中に9株中7株では元気消失やくしゃみを呈す豚が認められ、残りの2株(A(H1N1)pdm09ウイルスと古典的H1亜型IAV-S)を投与した豚では臨床症状を示さない。
  4. 全てのウイルス株において、投与2-5日後にかけて全頭(4頭/各株)の鼻腔中にウイルス排泄が認められる(図2)。鼻腔からのウイルス排泄量がピークに達する日やウイルス排泄期間は株間で異なっている。
  5. 投与から14日後にはIAV-Sを投与した全ての豚でIAV-Sに対する抗体価の上昇が認められる。
成果の活用面・留意点
  1. ネブライザ法は、IAV-Sを安定的に豚に感染させることができるため、株間でのウイルス増殖能や伝播力の違いなどIAV-Sの豚への病原性試験に活用することができる。
  2. 本実験系を用いて、ウイルス感染後の豚の鼻腔からのウイルス排泄量を評価基準とすることで、ワクチン効果を調べる実験に活用が可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029744
カテゴリ 評価基準

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