大腸菌性乳房炎における乳汁中大腸菌数は臨床症状を反映する

タイトル 大腸菌性乳房炎における乳汁中大腸菌数は臨床症状を反映する
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究課題名
研究期間 2016~2018
研究担当者 長澤裕哉
菊佳男
菅原和恵
藪崎尚弘
大野和吉
藤井健人
鈴木隆秀
前花浩志
林智人
発行年度 2018
要約 大腸菌性乳房炎の重症度と大腸菌数の関係は、乳汁中大腸菌数の増加に伴って臨床症状のスコアが有意に増加する傾向を示す。したがって乳汁中の大腸菌数は、大腸菌性乳房炎を防除および管理する上での有用な臨床指標となる。
キーワード 牛乳房炎、乳汁、大腸菌群、重症度スコア、乳汁中体細胞数
背景・ねらい ウシの大腸菌性乳房炎は、軽度の症状から生命を脅かす状態まで様々な重症度の症状を示し、その重篤度に応じて治療方針が異なる。そのため、大腸菌群による乳房炎の重篤度を判断することのできる臨床指標は、この疾患による牛(あるいは分房)の経済的価値および最適な予後管理を判断する上での有用であると考えられる。そこで本研究では、乳房炎罹患牛から採材した乳汁より、乳房炎の診療方針の参考となり得る臨床指標を得る。
成果の内容・特徴
  1. 北海道内における乳房炎罹患牛から採材した206の分房乳の内、大腸菌性乳房炎と同定された106検体に関して、乳汁中大腸菌数(CFU/ml)、乳汁中体細胞数および国際的に利用されているスコア化した臨床症状のグレード(表)との相関関係を検証したものである。
  2. 大腸菌性乳房炎においては、乳汁中体細胞数とスコア化した臨床症状のグレードおよび乳汁中大腸菌数に有意な相関はない(図1)。
  3. 大腸菌性乳房炎においては、臨床症状のスコアの増加に応じて乳汁中大腸菌数は有意な増加傾向を示す(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 従来から乳汁中の体細胞数は、大腸菌性乳房炎においても発症の有用な指標とされているが、臨床症状や重篤度を示す指標としては必ずしも正確ではない。
  2. 大腸菌性乳房炎の場合、乳汁中大腸菌数は臨床症状と有意に関連し、この疾患の重症度を判断するための有用な臨床指標となる。
  3. 一般的に大腸菌性乳房炎は発症後数時間で急性症状を示すことが多いため、迅速に治療方針を決定することが極めて重要となる。現時点では、乳汁中の大腸菌数の定量は1~2日を要する細菌培養法が主に用いられているが、今後は迅速に乳汁中の大腸菌数を定量する技術を考案することで、大腸菌性乳房炎を罹患した牛の最適な予後管理に貢献できる可能性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029743
カテゴリ 防除

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