変異型スクレイピーであるCH1641型は牛海綿状脳症(BSE)の起源ではない

タイトル 変異型スクレイピーであるCH1641型は牛海綿状脳症(BSE)の起源ではない
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究課題名
研究期間 2013~2018
研究担当者 宮澤光太郎
舛甚賢太郎
松浦裕一
岩丸祥史
横山隆
岡田洋之
発行年度 2018
要約 BSEの起源は不明であるが、従来のスクレイピーとは性状の異なる変異型スクレイピーを牛プリオン蛋白質過発現(TgBoPrP)マウスに接種し、その性状を明らかにした結果から、この変異型スクレイピーを起源とするBSEは存在しないことが示唆される。
キーワード スクレイピー、牛海綿状脳症(BSE)、遺伝子改変マウスモデル、プリオン
背景・ねらい 英国に端を発するBSE(定型BSEまたはC-BSE)は人獣共通感染症であり、C-BSEの起源を明らかにすることはリスク管理上重要な課題である。プリオン病の病原体は、宿主が持つ正常なプリオン蛋白質の構造が変化し、蛋白質分解酵素に対する部分抵抗性を獲得した異常型プリオン蛋白質(PrPSc)であると考えられている。羊のプリオン病であるスクレイピーは、C-BSE発生当初からその起源として疑われていたが、従来型のスクレイピーを接種した牛はC-BSEとは異なる性状を示すことが知られている。本研究では、ウェスタンブロット(WB)法で検出されるPrPScの分子量がC-BSEに類似する変異型のスクレイピー(CH1641型スクレイピー)を牛の代替モデルであるTgBoPrPマウスに接種し、その生物学的性状(臨床症状や病理像)と脳内に蓄積するPrPScの生化学的性状を定型BSEおよび非定型BSE(L-BSEおよびH-BSE)を接種したTgBoPrPマウスと比較し、BSEがCH1641型スクレイピーに由来するかを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. CH1641型スクレイピーを接種したTgBoPrPマウスのPrPScバンドパターンは、H-BSEを接種したTgBoPrPマウスのバンドパターンとは異なる(図1)。
  2. C-BSEを接種したTgBoPrPマウスとCH1641型スクレイピーを接種したTgBoPrPマウスの無糖鎖PrPScはほぼ同じ分子量を示すが、C-BSE接種マウスでは二糖鎖修飾されたPrPScの割合がCH1641型スクレイピーを接種したマウスに比べて著しく高い(図1)。
  3. CH1641型スクレイピーを接種したTgBoPrPマウスの臨床症状や生存日数はC-BSEまたはH-BSEを接種したTgBoPrPマウスとは異なる(表1)。
  4. CH1641型スクレイピーを接種したTgBoPrPマウスのPrPScバンドパターンは、L-BSEを接種したTgBoPrPマウスのバンドパターンと識別できない(図1)。
  5. L-BSEを接種したTgBoPrPマウスとCH1641型スクレイピーを接種したTgBoPrPマウスは、旋回運動や脊柱後弯等の類似した臨床症状を示す(表1)。
  6. L-BSEを接種したTgBoPrPマウスの生存日数は、CH1641型スクレイピーを接種したマウスに比べて有意に短い(表1)。
  7. L-BSEを接種したTgBoPrPマウスとCH1641型スクレイピーを接種したTgBoPrPマウスは、脳内の空胞化部位やPrPScの蓄積部位が異なる(図2)。
  8. 本研究の成果と過去の報告から、C-BSEが羊のスクレイピーに由来する可能性は非常に低いことが示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. 牛に比べて飼育が容易なTgBoPrPマウスを用いた異種間プリオン伝達試験モデルは、BSEの起源を探る有用な実験手法となり得る。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029730
カテゴリ 抵抗性

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