農業法人における経営継承マネジメントの手順と類型別の特徴

タイトル 農業法人における経営継承マネジメントの手順と類型別の特徴
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食農ビジネス推進センター
研究課題名
研究期間 2011~2018
研究担当者 山本淳子
小島泰子
澤田守
澤野久美
梅本雅
発行年度 2018
要約 農業法人における経営継承マネジメントは、方針決定、就農対策、能力養成対策、世代交代対策の順に行う。具体的なマネジメントの内容は、後継経営者の属性・人数や選定方針、経営形態により異なるため、経営継承の類型を考慮した対応をとる。
キーワード 農業法人、経営継承、マネジメント
背景・ねらい 地域農業の担い手としての農業法人の重要性が高まる中で、後継経営者の育成を通した次世代への円滑な経営継承が重要な課題となっている。経営継承では後継者の確保・選定から技術・経営者能力の付与、経営者交代までの長期的なマネジメントが必要となるが、農業法人の形態やどのような経営継承を志向するかは多様であり、各法人の実態に即したマネジメントの特徴を明らかにした上で具体的な方策を提示することが求められている。そこで、取り組み事例の分析にもとづいて経営継承マネジメントの基本的な手順を示すとともに、マネジメントの違いを踏まえて農業法人の経営継承を類型化しそれぞれの特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 経営継承マネジメントは方針決定、就農対策、能力養成対策、世代交代対策の順に行う(図)。方針決定では、法人の将来像に即して必要な人材(特に現役員の非血縁者を含むか)を明確にする。就農対策では、就業条件の整備等を通して人材を確保し、経営継承計画を立てる。能力養成対策では、OJTとOff-JTの組み合わせにより後継経営者の能力を高める。世代交代対策では、必要に応じて経営の代表者を選定するとともに株式等資産の移譲への対応をとる。
  2. 以上はすべての農業法人に共通するが、より具体的なマネジメントは、1)後継経営者の属性(家族のみか非血縁者を含むか)と人数、2)後継経営者の選定方針、3)経営の形態(一戸一法人か協業経営か)によって異なる(表1、表2)。
  3. 一家族型、後継者複数型、複数家族型は、いずれも後継経営者は家族(子供)のみであり、就農した者は基本的に経営陣へ登用され、資産の移譲は贈与により行われる。ただし、一家族型では1名の後継経営者の能力養成と相続対策にマネジメントが限定されるのに対し、後継者複数型では世代交代後の円滑な経営運営への配慮(きょうだいの役割分担の工夫等)等が、複数家族型では後継経営者間の公平な能力養成機会の創出や代表の選定といったマネジメントが加わる。
  4. 家族+非血縁者型と複数家族+非血縁者型では、家族に対しては一家族型や後継者複数型、複数家族型と同様の対応がとられる。また、非血縁者に対しては、就業条件の整備を通じた従業員の採用や株式取得資金の調達への配慮が必要となる。なお、家族+非血縁者型は、経営陣登用後に非血縁者が退職した場合の影響が相対的に大きいことから、勤務実績のある者など退職リスクが低い者の見極めが必要である。
  5. 会社型は、従業員の中から血縁に関係なく後継経営者としてふさわしい者を選抜するために、就業条件の整備を通した従業員の確保に加え、人材育成を主眼とした部署編成や職位別の権限・責任の明確化によるキャリアパスの整備、選抜(昇進)基準の設定と法人内での合意形成が必要である。また、家族であっても株式の贈与は行われないため、後継経営者による株式取得資金の調達への配慮を行う。
成果の活用面・留意点
  1. 農業法人経営者が経営継承対策を検討する際や、行政・普及指導機関が農業法人に対し人材育成及び経営継承への支援を行う際に活用できる。
  2. 後継経営者が確保できなかったため非血縁者へ事業を譲渡する「第三者継承」については、条件の合う継承者とのマッチングや資産の譲渡価格の調整など、別途対応が必要である。
  3. 成果の内容はマニュアルとして取りまとめ、農研機構ウェブサイトで公開している。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029710
カテゴリ 経営管理 人材育成

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