タイトル |
オオバのシソサビダニおよびシソモザイク病防除マニュアル |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2011~2017 |
研究担当者 |
久保田健嗣
宇杉富雄
千秋祐也
冨高保弘
津田新哉
広瀬拓也
森田泰彰
島本文子
清遠亜沙子
岡田知之
下元祥史
沖友香
下元満喜
中平知芳
下八川裕司
久家工人
横山克郎
山本正志
谷岡賀子
市川耕治
鈴木良地
田中はるか
天野淳二
松本祐保
恒川健太
武山桂子
堀川英則
伊藤涼太郎
大橋博子
後藤英世
若月洋
山崎修一
姫野和洋
田中啓二郎
松本翔太
上遠野冨士夫
多々良明夫
鍵和田聡
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発行年度 |
2018 |
要約 |
オオバ(青シソ)生産で大きな問題となるシソモザイク病と、その媒介虫シソサビダニに対して、これら病害虫の発生生態等に基づき、収益性を確保しつつ被害を大幅に抑制できる総合防除体系を解説するマニュアルである。
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キーワード |
シソサビダニ、シソモザイクウイルス、耕種的防除、薬剤防除、防除マニュアル
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背景・ねらい |
オオバの施設栽培では、シソモザイクウイルス(Perilla mosaic virus, PMoV)によるモザイク病と、その媒介虫であるシソサビダニ(Shevtchenkella sp.)によるさび症の発生が大きな問題となる。これらは2010年に発見された病害虫であるがその生態は未解明であり、有効な防除手段がない。そこで、これらの生態を解明し、耕種的防除および薬剤防除を組み合わせた総合防除体系を開発するとともに、分かりやすく解説するマニュアルを作成・公開する。
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成果の内容・特徴 |
- オオバのモザイク病と媒介虫のシソサビダニの発生生態と総合防除体系を解説するマニュアルであり、農研機構ウェブサイト上で公開している(図1)。
- モザイク病の発病リスクが高い時期は7~11月である。シソサビダニは野外のシソで4~6月に確認されはじめ、8~10月に盛期を迎える(図2)。シソサビダニは風にのって飛翔、分散し、栽培施設の側窓等の開口部から侵入するため、モザイク病の発生は風上側の側窓付近で始まり、内部に拡大する(マニュアル参照)。
- 耕種的防除:施設周辺に生えるシソ類(青シソ、赤シソ、エゴマ)は、シソサビダニおよびモザイク病の増殖、伝染源となるため、除去が極めて有効である。防虫網の展張はシソサビダニの侵入抑制効果がある(表1)。施設内で発生したモザイク病発病株は株ごと抜き取りが望ましいが、収量減が気になる場合は発病枝のみの除去でもよい。
- 薬剤防除:「しそ」のシソサビダニに対する農薬として新たに、レピメクチン乳剤、エマメクチン安息香酸塩乳剤、ルフェヌロン乳剤、キノキサリン系水和剤、ピリダベン水和剤が登録され、利用できる(2019年4月1日現在)。これらの剤の使用時期(収穫前日数)を考慮して作成された防除歴に基づき、育苗期、定植~収穫開始期、および収穫期間中に適した薬剤を処理する(マニュアル参照)。
- 耕種的防除と薬剤防除を組み合わせた本防除体系による栽培は、シソサビダニの防除を行わない慣行栽培と比較して約90%の防除効果を示す(図3)。10aあたり、本防除体系に要する資材費は約6万円であり、モザイク病による減収率がおよそ1%(20~30kg)以上の圃場では増益となり、多発圃場では20~30万円の増収が見込まれる。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:オオバ・エゴマ生産者、栽培地域の普及センターおよびJA指導者等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:オオバの主要産地である愛知県、大分県、高知県および茨城県(計185ha)
- その他:高知、愛知、大分各県の作型に適合した防除マニュアルが公開されている。
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カテゴリ |
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