漁網用防汚物質として使用されるポリカーバメートの海産魚類への毒性影響

タイトル 漁網用防汚物質として使用されるポリカーバメートの海産魚類への毒性影響
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 瀬戸内海区水産研究所
研究課題名
研究期間 2010~2012
研究担当者 持田和彦
伊藤克敏
隠塚俊満
羽野健志
伊藤真奈
藤井一則
発行年度 2018
要約 漁網用防汚物質であるポリカーバメートの海産魚類(マミチョグ)の初期生活段階における毒性影響を検討した結果、孵化後の成長阻害が認められ、その最低影響濃度および無影響濃度は3.9μg/Lおよび2.1μg/Lであることが明らかとなった。また、胚をPCに曝露することで、コラーゲン繊維の形成阻害が一要因となり、発生過程において脊索の湾曲が誘導されることが示された。
背景・ねらい ポリカーバメート(PC)は、近年、有機スズ化合物に替わる漁網用防汚物質として使用されているが、海産魚、特に感受性が高いとされる初期生活段階に対する毒性については報告例がない。そこで、海産魚(マミチョグ)の受精直後の胚、孵化仔魚および稚魚に対するPCの毒性影響を検討した。
成果の内容・特徴  マミチョグの孵化仔魚および稚魚に対する急性毒性値(96-h LC50)は、それぞれ12および630μg/Lであり、孵化仔魚は稚魚に比べ数十倍感受性が高いことが明らかとなった。
   初期生活段階毒性試験の結果、いずれの濃度区においても、孵化日数や孵化率に対する影響は認められなかったが、孵化後生残率や成長に曝露濃度依存的な低下が認められた。最も顕著な影響が認められた成長をエンドポイントとした最低影響濃度および無影響濃度を求めたところ、それぞれ3.9μg/Lおよび2.1μg/Lであった。 
 また、胚を高濃度のPCに曝露することで、脊索の湾曲が誘導された。生化学的および遺伝子発現解析の結果、PCによる脊索形態異常の誘導は、リジルオキシダーゼの活性低下に伴う、コラーゲン繊維の形成阻害や、形態形成関連遺伝子の発現異常が要因として考えられた。  
成果の活用面・留意点 ・得られた毒性値は、化審法の生態リスク評価等において利用可能である。 
・PC濃度は、分解産物であるジメチルジチオカーバメート(DMDC)を定量することで算出している。DMDCはPCのみならず、陸域で使用される農薬の構成成分でもあることから、リスク評価の際、環境中で検出されるDMDC濃度と毒性値の比較には留意が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029636
カテゴリ 農薬

この記事は