新規アルカリ好熱嫌気性菌Herbivorax saccincola A7はバイオマス分解能に優れる

タイトル 新規アルカリ好熱嫌気性菌Herbivorax saccincola A7はバイオマス分解能に優れる
担当機関 (国研)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2016~2020
研究担当者 藍川 晋平
小杉 昭彦
発行年度 2018
要約 リグノセルロース系バイオマスを原料とする堆肥から分離した新種の好熱嫌気性細菌H. saccincola A7はアルカリ環境を好み、セルロースとヘミセルロースを分解できる。本菌は、近縁菌には無いキシロースやキシロオリゴ糖の代謝酵素を持つことから、リグノセルロース系バイオマスの効率分解に適している。
キーワード バイオマス, キシラン分解, ゲノム解析, キシロース代謝
背景・ねらい リグノセルロース系バイオマスを燃料や化成品原料に変換するには、環境負荷の小さい前処理技術とともに、高効率で低コストな生物学的分解技術の開発が求められる。これまで知られている好熱嫌気性セルロース分解菌Clostridium thermocellumC. clariflavumなどは、バイオマスに含まれるセルロースを高効率分解し、利用できるが、バイオマスにセルロースと同程度含まれるヘミセルロースは利用することができない。そこで、セルロースとヘミセルロースを効率的に分解し、利用できる新たな微生物を探索・分離し、特性や作用機序に基づいてバイオマス分解における有用性を示すことで、ヘミセルロースの主成分であるキシランの含有量が高い難分解性のバイオマスの高効率分解プロセスの構築に利用する。
成果の内容・特徴
  1. サトウキビバガスや稲わらなどを原料とする石垣島の堆肥から好熱嫌気性細菌を分離し、16S rRNA系統樹解析によってHerbivorax saccincola A7(以下、A7と表記)と同定した(図1A)。A7は既知のセルロース高分解菌であるC. thermocellumC. clariflavumと近縁である(図1B)。
  2. A7はアルカリ性(pH9.0)の至適生育pHを持ち(表1)、発酵生産物の有機酸がpHを低下させる影響を受けにくく、バイオマス分解能を長期間維持できる。また高温、アルカリ環境のため雑菌が繁殖しにくい条件でバイオマス分解が可能である。
  3. A7はキシランを炭素源として生育することができる(表1)。
  4. A7は3.76 Mbのゲノムサイズで3,346個のタンパク質をコードする遺伝子を持つ(表1)。
  5. A7と近縁のセルロース分解好熱性嫌気性細菌との比較ゲノム解析の結果、セルロース分解に重要なセルロソーム(セルラーゼ/ヘミセルラーゼの酵素複合体)構造や糖質分解酵素の数や種類に大きな相違は認められなかったが、A7は糖質分解酵素に対するキシラン分解酵素の比率が他の近縁種に比べて高い(表1)。
  6. A7は他の近縁種には認められないキシランの分解物であるキシロースやキシロオリゴ糖の輸送タンパク質やキシロース代謝経路を保有しており(図2)、キシランを多く含むバイオマス分解に適した有用微生物と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. A7は強いキシラン分解・資化能を有していることから、キシラン含有が高い空果房やパーム幹などパーム油製造で排出される農作物残渣やトウモロコシ茎葉の分解に有用である(特許出願番号PCT/JP2017/021784)。
  2. A7はドイツ細胞バンク(DSMZ)及び理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)から入手できる。
オリジナルURL https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2018_c02
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029557
カテゴリ さとうきび 低コスト とうもろこし 繁殖性改善 輸送

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