カラマツの種子をつけやすくする方法の開発―カラマツ苗木の安定供給に向けて―

タイトル カラマツの種子をつけやすくする方法の開発―カラマツ苗木の安定供給に向けて―
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 高橋 誠
松下 通也
田村 明
西川 浩己
発行年度 2019
要約 カラマツは材に強度があるため近年注目され、造林のための苗木の需要が高まっていますが、慢性的に苗木が不足しています。その原因は種子不足です。そこで、カラマツに種子をつけやすくする方法を明らかにしました。
背景・ねらい カラマツは材に強度があるため近年注目され、造林のための苗木の需要が高まっていますが、慢性的に苗木が不足しています。その原因は苗木を生産するための種子の不足です。そこで、カラマツに種子をつけやすくする方法を明らかにするために、カラマツ採種園において光環境の測定と着果量の調査を行いました。調査結果を解析したところ、カラマツの着果には樹冠が受ける光の強さが密接に関係していることを明らかにしました。また、光環境を改善する施業と環状剥皮処理を併用することにより、さらに着果量が増大することも明らかにしました。
成果の内容・特徴
カラマツとカラマツの種苗生産
 カラマツはスギ、ヒノキに次いで人工林面積が広く、特に中部地方以北の地域において重要な造林樹種となっています。また、材に強度があるため、近年集成材や合板の材料としての需要が高まっています。年平均で1千万本以上のカラマツの苗木が生産されています。それでも慢性的に苗木が不足する状況が続いています。これには、カラマツの種子の豊凶が顕著なため、苗木生産に必要なカラマツ種子が不足していることが密接に関係しています。このため、カラマツの苗木を安定的に生産・供給するために、着果量を増大させる要因を明らかにしました。
カラマツ採種園における光環境と種子生産の調査とデータ解析
 山梨県のカラマツ採種園において、各採種母樹の光環境を地上高別に調査するとともに、これらの母樹の着果量を調査し、その調査データを一括して統計解析することにより、光環境とカラマツの種子生産性との関係について明らかにしました。
 その結果を図1に示しました。2つのグラフの横軸は、光環境を樹冠が受ける光の強さ(相対光量子束密度)として表しています。各グラフの右にいくほど明るいことを、左にいくほど暗いことを意味しています。縦軸は、それぞれの明るさにおける各着果指数別の個体の割合を統計解析により推定した結果です。光の強さが50%以下では着果しない個体の割合が半分以上を占めていますが、光環境が改善すると、着果しない個体の割合は大幅に減少しており、着果には光環境が大きく影響しています(図1a)。そこに、環状剥皮処理(図2)を組み合わせると2つの処理の相互作用により、さらに着果する個体の割合が高まることが推定されました(図1b)。
種子生産性を高めるためのカラマツ採種園の管理
 今回の解析により、光環境の改善の有効性と、それを環状剥皮処理と併用することによる着果促進の効果を調査データに基づいて初めて定量的に明らかにすることができました。これらの結果から、既に設定されているカラマツ採種園において受光伐により採種園内の光環境を改善した上で、採種母樹に環状剥皮処理を行うことにより、カラマツの種子生産量を高めることができるものと期待されます。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029581
カテゴリ 苗木生産

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