木材の美しさを長持ちさせるセルロースナノファイバー配合塗料の開発

タイトル 木材の美しさを長持ちさせるセルロースナノファイバー配合塗料の開発
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 石川 敦子
小林 正彦
神林 徹
片岡 厚
下川 知子
林 徳子
眞柄 謙吾
大木 博成
何 昕
伊藤 拓美
発行年度 2019
要約 セルロースナノファイバーを混ぜ合わせることで、木材の美しさを長持ちさせる塗料を開発しました。
背景・ねらい セルロースナノファイバー(CNF)は、木材の主成分であるセルロースをナノサイズまでほぐしたもので、様々な分野でその用途開発が進められています。このCNFの用途の一つとして、CNFを配合した木材用塗料を開発しました。森林総合研究所で開発した酵素・湿式粉砕処理方法でスギからCNFを製造し、塗料に配合してスギ材を塗装したところ、CNFの配合によって、使用時の変色や表面欠陥を抑制できることがわかりました。CNF配合塗料を木材の塗装に用いることで、木材の美しさをより長持ちさせることが可能です。
成果の内容・特徴
木材の美しさを長持ちさせることが求められている
 公共建築物や商業施設、住宅等の様々な用途で、内外装ともに木材が使われる機会が増えています。こうした用途では、木材の美しさが長期間持続することが求められています。木材を塗装することで変色等を抑制できますが、ある程度の年月が経つと劣化するため、さらに美しさを長持ちさせることが望まれています。
セルロースナノファイバー配合塗料の開発
 セルロースナノファイバー(CNF)は、木材の主成分であるセルロースをナノサイズまでほぐしたもので、いろいろなものに配合することで強度等の性能を向上させることがわかっていました。そこで、木材用塗料にもCNFを配合すれば、塗膜の強度が向上し、塗装が長持ちするのではないかと予想し、CNFを塗料に配合する研究を進めました(図1)。木材塗装には一般的に、下塗り、中塗り、上塗りの3工程があります。このうち特に重要なのは、木材に浸透して基礎を固める下塗りと、塗装表面の強度や美観を高める上塗りです。そこで、CNFを下塗りや上塗り用の塗料に配合することで、塗装性能がどのように変化するのか調べました。
 CNF配合塗料を上塗り又は下塗りに用いてスギ材を塗装し、人工太陽光と人工降雨を照射する促進耐候性試験を行ったところ、CNF配合塗料を用いたスギ材は、紫外線や雨水の影響を受けても表面欠陥の発生が少なくなること、特に下塗りに用いた場合には、表面の変色が大幅に抑制されることがわかりました(図2)。下塗り塗料では、CNFを配合すると、塗装後に塗料が乾く時、木材表面に微細な網目構造を形成し、木材と上塗り塗料の界面を安定化することで塗膜欠陥と変色が抑制されると推察されます。こうしたメカニズムについては、今後さらに研究を進める予定です。
 木材の塗装は、一般に変色や塗膜割れ等の欠陥が目立つようになると塗り替えられます。開発したCNF配合塗料の塗り替え時期も、今後さらに試験時間を延長して見極める必要があります。しかし、図2に示した変色抑制効果が持続することを前提にすると、通常の倍以上長持ちする可能性があります。なお、本研究の成果は「木部用塗料及び塗装方法」として特許を出願しました。
 実際に屋外で使用する場合には、前述の促進耐候性試験で発生する変色や欠陥のほか、物体の衝突による傷、カビや藻類の繁殖、さらに日当たりの強弱や風通しの有無といった設置環境の影響も受けるため、木製のベンチやフェンス等を、開発したCNF配合塗料で塗装し、屋外における経年変化の観察をしています(図3~5)。それらの結果を見ながら、出来るだけ低コストで、さらに長持ちするメンテナンス方法の開発を進める予定です。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029576
カテゴリ 低コスト 繁殖性改善

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