アマゾン熱帯林で持続的な択伐施業の可能性を検証する

タイトル アマゾン熱帯林で持続的な択伐施業の可能性を検証する
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 大谷 達也
梶本 卓也
大橋 伸太
諏訪 錬平
発行年度 2019
要約 中央アマゾンの熱帯林でインパクトを最小限に抑える択伐施業を行うと、残された樹木が成長することによって地上部バイオマスは約 14 年で回復するため、森林の炭素蓄積量を維持しながら管理できることがわかりました。
背景・ねらい
森林伐採により熱帯林の減少や劣化が進むと、地球規模での炭素循環や気候変動に悪影響を及ぼすことが危惧されています。そこで、木材の利用と気候変動の抑制を両立させるとして、伐り残される森林への影響を最小限に抑える低インパクト択伐施業に期待が寄せられています。しかし、択伐された森林が実際にどのように回復するかは明らかにされていませんでした。そこで、アマゾン中央部の択伐施業地で伐採後の経過年数と森林の地上部バイオマスの関係を調べたところ、伐採後およそ14年でバイオマスはもとのレベルにまで回復することがわかりました。ただし森林の構造がもとに戻るには、さらに長期間が必要なことも明らかになりました。
 
成果の内容・特徴
伐採される「地球の肺」
 日本にもマサランドゥーバやイペなどのアマゾン産の木材が輸入されています。これらの木材は天然林から抜き伐り(択伐)することによって生産されています(図1、2)。一方で、地球の肺ともいわれ地球規模の炭素循環に影響するアマゾン熱帯林が択伐によって減少・劣化すると、地球全体の気候にも悪影響を及ぼすことが危惧されています。熱帯林での持続的な木材生産と環境調節機能の維持とのバランスを見極めるためには、択伐を受けた森林がどのように回復するのか正確に知る必要があります。
アマゾン中央部での調査
 そこで、これまでに調査事例がほとんどなかったアマゾン中央部において、民間会社によって択伐された森林を試験地にして、伐採後の樹木のバイオマスの経時的な変化を調べました。ここでは会社が森林をブロックに区切り、1997年からブロックを変えながら択伐を続けていますので、択伐のあとにどのように森林が変化していくのか、伐採年の異なるブロックで一度に調べることができます。択伐年の異なるブロックに調査プロットを設置し、樹木の本数と直径を3~4年おきに計3回繰り返し測定しました。また、隣接する保護林でも同様に調査し、択伐されていない森林の平均的なバイオマスを把握しました。その結果、伐採後の経過年数とバイオマスとの関係から、伐採後およそ14年でバイオマスはもとのレベルに戻ると推定されました(図3)。ただし、樹木の大きさごとにバイオマスをみると、択伐林と保護林とではバイオマスの内訳が大きく異なっており、どの大きさの木が何本あるかという樹木のサイズ構造まではもとの姿に戻っていないこともわかりました(図4)。
木材利用とのバランス
 ブラジルでは、同じ場所の森林を繰り返し択伐するには25年から30年の期間をあけることが法律で定められています。また、今回調査した択伐施業地では択伐の実施にあたって入念な計画を立て、ヘクタールあたり平均2本ほどしか伐らないというとても穏やかな択伐を行っています。調査の結果から、こうしたインパクトを最小限に抑えた丁寧な択伐を行えば、森林のバイオマス(炭素量)については残された樹木が成長することで、次回の択伐までに回復できることが確認されました。今後は、択伐後に森林の構造までもとに戻るにはどれくらいの期間が必要か調べていく必要があります。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029566
カテゴリ 炭素循環

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