複数農薬の累積的生態リスク評価ツール:NIAES-CERAP

タイトル 複数農薬の累積的生態リスク評価ツール:NIAES-CERAP
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2017
研究担当者 永井孝志
発行年度 2017
要約 水環境中農薬濃度のモニタリングデータをMicrosoft ExcelベースのツールであるNIAES-CERAPに入力することによって、複数の農薬による複合影響を考慮した累積的生態リスクを評価することができる。
キーワード 農薬、水生生物、生態リスク、複合影響、Microsoft Excel
背景・ねらい 農業環境技術研究所(現農業環境変動研究センター)は、2016年3月にモニタリングなどによって得られた農薬の環境中濃度を入力すると水生生物に対する生態リスクが表示されるMicrosoft Excelベースのツールを公開している。ただし、このツールは個別の農薬のリスク評価にしか対応していない。個別の農薬のリスクが低いと判定された場合であっても、実際の環境中では数十もの多種類の農薬が同時に検出されるため、複数の農薬の複合影響を考慮して累積的な生態リスクを評価することが必要となる。そこで、既存の複合影響予測モデルを組み合わせて多数の農薬の複合影響を計算できるように、新たなリスク評価ツールを開発し、行政や地方自治体などによる農薬の生態リスク評価を支援する。
成果の内容・特徴
  1. 複数の農薬による複合影響を考慮した生態リスクを累積的生態リスクと定義する。NIAES-CERAP(複数農薬の累積的生態リスク評価ツール)は、Microsoft Excelのスプレッドシートとなっており(図1)、モニタリングなどで得られた農薬の環境中濃度のデータを入力するだけで、殺虫剤、殺菌剤、除草剤の3つのカテゴリー別に累積リスクが自動的に計算できる簡便なツールである。
  2. 多数の生物種に対する化学物質の感受性を統計学的に解析し、化学物質の濃度と影響を受ける種の割合の関係を確率分布として表現したものを「種の感受性分布(Species Sensitivity Distribution, SSD)」と呼ぶ。また、農薬の複合影響については、濃度加算モデル(作用機作が同じ化学物質群に適用)・独立影響モデル(作用機作が異なる化学物質群に適用)という二つの既存の複合影響予測モデルがあり、これをSSDに適用することで、累積的生態リスクを評価できる。
  3. SSDと複合影響予測モデルを組み合わせた累積的生態リスクの評価の妥当性を実験的に検証するために、5種の藻類を用いて、5種類の除草剤を混合させた複合毒性試験を行った。5種の藻類が影響を受けた割合(増殖阻害が50%以上のときにその種は影響を受けたと判定)と、5種類の個別の除草剤濃度から複合影響予測モデルを用いた予測結果を比較すると、概ね一致する結果が得られている(図2)。
  4. このツールは、農研機構WEBサイト内で内容を紹介する技術パンフレット(図3)と共にダウンロード(http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/pub2016_or_later/laboratory/niaes/manual/079666.html)できる。これまで非常に困難であった複合影響の考慮した生態リスクの評価が広がることが期待される。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:公設試、行政、農薬等の化学品メーカー、大学など農薬の環境中濃度観測を行っている様々な主体による活用が想定される。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の水環境に適用可能。
  3. その他:SSDや複合影響予測モデル等については技術マニュアル(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/ssd/)で解説を行っている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029513
カテゴリ 除草剤 農薬 モニタリング

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