農地土壌の放射性セシウム固定能の特徴と分布図の作成

タイトル 農地土壌の放射性セシウム固定能の特徴と分布図の作成
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2015
研究担当者 山口紀子
高田裕介
神山和則
塚田祥文
武田晃
谷山一郎
発行年度 2017
要約 土壌の放射性セシウム固定能の指標である放射性セシウム捕捉ポテンシャル(RIP)は、炭素含量が多い土壌、風化雲母が検出されない土壌で低い傾向がある。
キーワード 放射性セシウム捕捉ポテンシャル(RIP)、黒ボク土、土壌炭素、風化雲母
背景・ねらい 作物による放射性セシウムの吸収は、土壌中濃度だけでなく、土壌が放射性セシウムを強く保持する能力によっても左右される。作物の放射性セシウム吸収低減には、カリウム施肥が有効である。東京電力福島第一原子力発電所事故後、カリウム増肥が積極的におこなわれてきたが、今後は土壌の放射性セシウム濃度や土壌条件に応じ、カリウム施肥量を調整していく必要がある。カリウム施肥量の適正化のためには、土壌の放射性セシウム濃度と併せて、放射性セシウム固定能を把握しておくことが不可欠である。そこで、土壌の放射性セシウム固定能の指標である放射性セシウム捕捉ポテンシャル(RIP)と土壌の理化学性とRIPの関係を調査するとともに、その分布図を作成し、作物による放射性セシウム吸収抑制対策の基礎資料として活用する。
成果の内容・特徴
  1. 放射性セシウムは、土壌中の粘土鉱物のもつフレイド・エッジ・サイト(FES)に固定される。RIPは、137CsがKと比較してどの程度FESに固定されやすいかを測定し、土壌の放射性セシウム固定能を評価できる指標である。
  2. 福島県、栃木県、宮城県、岩手県内の農地925地点より採取した作土のRIP分布図を図1に示す。調査地点のRIPは、73~12,700mmol/kgの範囲である。なお、RIPが低いほど放射性セシウム固定能は低い
  3. 土壌タイプ毎にRIP値の度数分布を比較すると、黒ボク土の放射性セシウム固定能は、他の土壌タイプよりも低い傾向がある(図2)。
  4. 炭素含量が高い土壌ほどRIPが低く、放射性セシウム固定能が低い傾向にある(図3)。
  5. RIPは、土壌の粘土含量および陽イオン交換容量(CEC)との相関が低い(図3)。すなわちカルシウムイオンなど土壌中に常在する陽イオンの土壌への保持されやすさは、放射性セシウムの固定能とは関係がない。
  6. 雲母の風化により生成した粘土鉱物であるバーミキュライト、イライト(風化雲母)、およびスメクタイトが検出されない土壌においてRIPが低い傾向にある(表1)。また、黒ボク土であるにもかかわらずRIPが高い土壌からは、風化雲母が検出される。
成果の活用面・留意点
  1. 農地土壌の放射性セシウム濃度分布図と併せて活用することにより、カリウム施肥量の低減により、作物の放射性セシウム濃度が高まらないよう監視が必要な農地が分布する地域を判定することができる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029498
カテゴリ 施肥

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