飼料用米のための循環式乾燥機を利用した高温熱風による効率的乾燥手法

タイトル 飼料用米のための循環式乾燥機を利用した高温熱風による効率的乾燥手法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業技術革新工学研究センター
研究課題名
研究期間 2015~2017
研究担当者 土師健
野田崇啓
日髙靖之
嶋津光辰
荒井圭介
発行年度 2017
要約 循環式乾燥機で使用する熱風の温度を乾燥速度による制御を行わず、通常よりも高温とすることで、能率向上や乾燥コスト低減に顕著な効果がある。本手法は、食味を問わない飼料用米などの乾燥コストが標準乾燥モードと比較して12~31%低減できる。
キーワード 循環式乾燥機、飼料用米、高温熱風、省エネ、飼料栄養価、乾燥コスト
背景・ねらい 輸入飼料の価格高騰や国産飼料による食の安全・安心、多面的機能を持つ水田の維持などの観点から新規需要米の作付面積は増加しており、その中で飼料用米は目標生産量が110万tに設定され、今後も生産拡大が見込まれる。この目標を達成するためには低価格での供給が課題であり、乾燥調製費の低減は必要不可欠である。
本研究では、日本で広く普及している循環式乾燥機を用いて省エネルギーで加工適性に優れた乾燥が可能となれば、「飼料用米乾燥モード」のような運転条件設定を市販機や既存設備に反映することができ、乾燥調製費低減の一助になりうると考え、循環式乾燥機と乾燥効率が良いとされる高温の熱風を組み合わせて乾燥試験を行い、有効性を確認する。
成果の内容・特徴
  1. 本手法は、市販の循環式乾燥機の灯油燃焼バーナーと制御プログラムを変更することで、熱風温度を通常よりも高温(40~100°Cの範囲で任意に一定温度)に設定できる試作機を用いる(表1)。灯油燃焼バーナーは本研究用に特別に作製されたものではなく、上位クラスの乾燥機に搭載されているものである。
  2. 乾燥試験では、飼料用専用品種の代わりに食用米「朝の光」、「彩のかがやき」を用い、その結果を表2に示す。乾燥速度は、対照機(試作機のベースとなった市販機)の標準乾燥モードの2~4倍となる。所要エネルギー(水1kgを蒸発させるのに必要なエネルギー)は、標準乾燥モードに比べ10~25%低減する。その結果、乾燥コスト(水1kgを蒸発させるのに必要な灯油と電気代金)は、12~31%低減するが、80°Cから100°Cでは低減効果が徐々に低下する(図1)。胴割れ率は熱風温度を高くするほど増加する。
  3. 乾燥速度が大きくなれば、1日に2回乾燥することが可能となり、乾燥機1台あたりの作業面積(処理量)を増やすことができる。その効果を宮城県農業センターが公表している稲作経営における作業別料金算出システムを利用し、乾燥調製施設での乾燥経費を試算すると、対照区(経営面積7ha規模でそれに対応した標準の乾燥機を利用と仮定)に対して最大で50%程度削減できる可能性がある(図2)。
  4. 各処理方法で乾燥し、籾摺りした後の玄米の栄養成分調査の結果、熱風温度を高くしても栄養成分は減少せず、TDN(可消化養分総量)は低減しない。
成果の活用面・留意点
  1. 灯油燃焼バーナーの交換と制御プログラムの変更が必要である。
  2. 熱風温度100°Cで乾燥しても籾が発火することはないが、乾燥機鉄板の歪みや耐久性低下などの機械的破損に関して懸念され、乾燥コストの削減効果が徐々に低下することから熱風温度は80°Cから100°C未満が適当と考えられる。
  3. 胴割れ率が高い籾の籾摺り作業では、籾摺歩留まりが低下するため風選別や揺動選別板上の調整が必要である。
  4. 熱風温度を高くするほど、設定停止水分とのズレが大きくなる傾向となる。意図した水分で乾燥が終了する制御法や運転方法を検討する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029488
カテゴリ 加工適性 乾燥 経営管理 コスト 省エネ・低コスト化 飼料用米 飼料用作物 水田 生産拡大 低コスト 品種 良食味

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