早生樹「コウヨウザン」の造林樹種としての評価と優良系統の選定

タイトル 早生樹「コウヨウザン」の造林樹種としての評価と優良系統の選定
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 山田 浩雄
磯田 圭哉
山口 秀太郎
近藤 禎二
生方 正俊
久保田 正裕
大塚 次郎
倉本 哲嗣
藤澤 義武
鵜川 信
涌嶋 智
渡辺 靖崇
松岡 秀尚
小西 浩和
発行年度 2018
要約 中国原産の早生樹「コウヨウザン」は新たな造林樹種の一つとして期待されています。このため、コウヨウザンの植栽適地や成長、製材品の性能を明らかにするとともに、造林用種苗を生産するための優良系統の選定を行いました。
背景・ねらい 中国原産の早生樹「コウヨウザン」は、幹が通直で成長が早いこと、さし木による増殖が可能で萌芽性にも優れていることから、西南日本における新たな造林樹種の一つとして期待されています。これまでの研究の結果、コウヨウザンは、照葉樹林帯が植栽の適地であること、スギの適地ではスギを上回る成長を示すこと、成熟材ではヒノキと同等の材質を示すこと等が明らかとなりました。また、さし木クローンが植栽された林分で、クローン毎に成長と材質の評価を行い、22クローンを優良系統として選定しました。今後、これらの優良系統を使って種子や穂木を採取する採種穂園を造成していくことにより、優良な造林用種苗の生産が期待されます。
成果の内容・特徴 新たな造林樹種として期待されるコウヨウザン
 
コウヨウザンは、中国の中南部や台湾が原産のヒノキ科コウヨウザン属の常緑針葉樹で、日本のスギやヒノキと近縁な樹種です。中国では揚子江以南の中南部における代表的な造林樹種として広く植栽されています。日本には江戸時代以前に渡来したとされ、単木的には寺社林等に広く植栽されているほか、林分としては国有林、大学演習林、県有林などで造林されています。幹が通直で成長が早いこ と、さし木による増殖が可能で萌芽性にも優れていることから、西南日本における新たな造林樹種の一つとして期待されています。そのため、日本での植栽適地や成長量、製材品の材質について調査するとともに、造林用種苗を生産するための優良系統の選定を行いました。
照葉樹林帯がコウヨウザンの植栽適地
 コウヨウザンの植栽可能な地域を明らかにするため、既存の文献情報やインターネット上の情報等を収集し、寺社林等に単木的に植栽されているものを含めて、コウヨウザンの所在地マップを作成しました(図1)。コウヨウザンは、東北地方から九州までの広い地域に植栽されており、特に関東地方や近畿から北陸地方にかけての地域に多くみられました。所在地の気候条件は、年平均気温12℃以上、暖かさの指数90℃・月以上、寒さの指数-15℃・月以上となり、潜在植生が照葉樹林帯と考えられる地域が植栽の適地であることがわかりました。
スギを上回るコウヨウザンの成長 
 これまでに、ある程度まとまった本数のコウヨウザンが植栽されている林分17カ所について成長量の調査を行いました。広島県庄原市の52年生の民有林では、同地域のスギの1等地の収穫予想表から得られる総収穫量と比較して、2倍以上の成長量を示しました(図2)。全体的に見ると、スギの植栽に適した土壌が深く湿潤な立地条件では、スギを上回る良好な成長性を示すことが明らかになりました。また、樹木の高さ別に円板を取って樹幹解析を行った結果、植栽後50年を過ぎても旺盛な成長を持続していることがわかりました。一方、アカマツの生育適地のような尾根部等の乾燥した立地条件では成長がスギを下回るなど、植栽地の選定の重要性が明らかになりました。
壮齢林ではヒノキと同等性能のコウヨウザンの製材品
 林齢が20年程度から50年を超える4林分から材質調査用の個体を伐採し、製材品を作製して曲げ強度試験等を行いました(図3)。林齢の高い個体から作製した成熟材を多く含み、節の少ない製材品では、ヒノキ材と同等の曲げ強度等を示しました。一方、林齢の若い個体から作製した未成熟材を多く含み節の多い製材品では、スギ材と同等程度の曲げ強度等を示しました。このように、製材品の材質は樹齢や木取りによって影響を受けることが明らかとなりました。
コウヨウザンの優良系統の選定
 
DNA分析により、広島県庄原市の林分はさし木により造林されたことが明らかとなりました。この林分の727個体は、92の母樹から増殖したさし木クローンの苗木が植栽されたものでした。クローン毎に成長と材質の評価を行い、その中から成長や材質の優れた22クローンを優良系統として選定しました(図4)。今後、これらの優良系統をもとに品種開発等をさらに進め、種子や穂木を採取する採種穂園の造成や優良な造林用種苗の生産につなげていくことにより、林業の成長産業化や地球温暖化森林吸収源対策に貢献します。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029483
カテゴリ 乾燥 品種開発

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