国産広葉樹の家具・内装材用途での活用に向けて

タイトル 国産広葉樹の家具・内装材用途での活用に向けて
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 青井 秀樹
田中 亘 
杉山 真樹
天野 智将
発行年度 2018
要約 家具・内装材用の広葉樹原材料の約8割を海外産が占めています。それを国産に置き換えることを目指して、国産広葉樹の資源蓄積状況、流通・加工の現状を把握し、国産広葉樹の利用を進めるための課題と対応策を示しました。
背景・ねらい 家具・内装材向けの広葉樹原材料は全体の約8割を海外産が占めています。一方、我が国の私有林には約7億7千万m3の広葉樹の蓄積があり、その活用によって原材料を国産に転換することが可能です。そこで国産広葉樹の地域別の蓄積状況、流通・加工状況、および国産広葉樹の利用を進めるための課題、その対応方策の解明を試みました。その結果として、本州日本海側や内陸部には豊富な有用樹種の蓄積があること、一方で、流通・加工体制が未整備であることを指摘しました。国産広葉樹の利用を進めるためには、本州日本海側や内陸部の広葉樹資源の活用が鍵となるため、その豊富な資源に見合った販売先、販売方法を提案しました。
成果の内容・特徴 家具や内装材向けの広葉樹原材料を巡る概況 
 国内生産される家具に限定して原材料需要を原木換算すると72万m3と推計されます。しかし家具・内装材用では全体の約8割を海外産が占めているのが現状です。統計上では我が国の私有林に約7億7千万m3の広葉樹の資源蓄積があり、これを利用しない手はありません。ただし1980年代後半以降は海外産広葉樹への依存が高まってきたため、国産広葉樹の地域別の蓄積状況、流通・加工状況が把握されていませんでした。そこで本調査研究ではそれらを解明すると共に、国産広葉樹の利用拡大のための課題と対応方策を明らかにすることを目標としました。
有用樹種の蓄積状況
 現在の広葉樹の主な産地は北海道や東北地方です。これに加え、潜在的な産地として、本州日本海側や内陸部では充分な直径を持つナラ類、ヤマザクラ、クリ等の有用樹種の蓄積が豊富にあることが分かりました(図1)。しかし、本州日本海側や内陸部では、人手不足の上に、路網の未整備、高性能林業機械の未活用といった課題があり、生産拡大は容易ではありません。
広葉樹原木の流通・加工状況
 広葉樹原木の流通・加工状況は図2に示す形に整理できます。流れとしては、広葉樹が山で伐採された後に、伐採現場近くの集積所で樹種、直径、品質等を基準に仕分けます。ここでは有用樹種、最小直径が20cm以上、節無し、腐れ無し、まっすぐな部分が2m以上等を満たす広葉樹原木(用材と呼ぶ)が選抜され、主に原木市場に出荷されます。原木市場では製材業者がそれらを買い付け、乾燥ひき板に加工して家具・内装材の製造者に販売します。しかし製材・乾燥工場は2000年代に大幅に淘汰され、現状では残った少数の工場がフル操業しており、生産拡大の余力が乏しい状況です。
国産広葉樹の利用拡大に向けた方策
 海外産広葉樹を国産に転換するには、生産縮小してきた広葉樹製材・乾燥工場の生産能力を拡充する必要があります。そのためには広葉樹用材の安定供給が不可欠で、路網整備、高性能林業機械の活用による広葉樹用材の増産が必須となります。
 現在、本州日本海側や内陸部で生産された広葉樹用材の多くは低質材として扱われ、生産のインセンティブが働きにくい状況にあります。そこで、広葉樹用材の品質と量に見合った有利な販売先、販売方法を提案しました(図3)。ここでは一度に10m3の用材が集まるかどうかを基準としています。仮に上質材だけで10m3集まる場合は、価格形成力がある遠方の広葉樹主体の原木市場での競り売りを推奨しています。有利な価格が実現できれば生産のインセンティブが働き、安定供給体制が実現でき、さらにそれを需要する工場群の形成につながります。生産と需要の拡大はさらなる広葉樹用材の需要拡大につながります。こうした循環を本州日本海側や内陸部で実現することが国産広葉樹用材の利用拡大の鍵となります。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029473
カテゴリ 加工 乾燥 くり 出荷調整 需要拡大 生産拡大

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