航空レーザー測量データから地震後の崩壊危険斜面を予測する

タイトル 航空レーザー測量データから地震後の崩壊危険斜面を予測する
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 村上 亘
発行年度 2018
要約 航空レーザー測量(LiDAR)データから地震後の降雨により崩壊が発生しやすい斜面を予測する技術を開発しました。
背景・ねらい
大きな地震の後に降雨による崩壊が起こりやすくなる現象が数多く報告されていますが、そのメカニズムについては不明でした。今回、地震発生後の複数の時期に航空レーザー測量で得られた詳細な地形データを比較することで、地震後に崩壊が発生した斜面の地形的特徴をつきとめました。崩壊の多くは山地斜面内の浅く凹んだ緩斜面で発生し、そこには地震による亀裂などの斜面変形の痕跡が認められました。本研究の成果は、2016年熊本地震により被害を受けた阿蘇地域のように、地震後の降雨により再度の崩壊発生が懸念される地域の防災対策に役立てる予定です。
成果の内容・特徴
地震後の山地斜面では降雨による崩壊が多い
 1995年の阪神淡路大震災以降、国内各地で大きな地震による災害が多発しています。これらの大きな地震の後に降雨による崩壊の発生が増加することが数多く報告されていますが、そのメカニズムについては不明な点が多く残されています。私たちは2008年岩手・宮城内陸地震の発生後に降雨による崩壊がみられた岩手県の山地で、地震発生後の詳細な地形データの時系列解析と現地調査を行い、地震が斜面に与えた影響と地形の関係を詳しく調べました。
航空レーザー測量データの比較から明らかとなった崩壊斜面の地形的特徴
 近年、航空レーザー測量(Light Detection And Ranging:以下LiDAR)という計測技術の発達により、従来よりも高精度な地形データを得ることが可能になりました。私たちは2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震後の複数の時期にLiDARで得られた詳細な地形データを比較して、地震後の降雨で崩壊が発生した斜面の地形的特徴を検討しました。その結果、斜面内の部分的に浅く凹んで傾斜が緩くなっていた場所が崩壊していることがわかりました。また、周辺の崩壊が発生していない斜面において同様の地形を特定し、現地調査で斜面の様子を詳しく調べました(図1a)。その結果、これらの緩斜面には、地震の際に形成されたと思われる亀裂などの斜面変形の痕跡が認められました(図1b、c)。
変形斜面の内部構造が示す崩壊リスク
 今回の調査で亀裂のような地震による変形の痕跡が見つかった場所において、地盤の堅さを調べる簡易貫入試験や掘削断面の観察を行ったところ、地下70 ~ 100cmの風化層の中に、指で押せばへこむような硬さしかない弱層が形成されていることがわかりました(図2)。亀裂や弱層は地震動で斜面の一部がずり落ちたために形成されたものと考えられます。このような弱層は地震による変形を受けていない斜面にはみられないことから、弱層がすべり面となることで、地震後の降雨の際に崩壊が発生しやすくなっていることがわかりました(図3)。
成果の利用
 2016年に発生した熊本地震の被災地においても降雨時の崩壊発生が心配されています。本研究の成果は、阿蘇地域のように地震後に再度の崩壊発生が懸念される地域の防災対策に役立てる予定です。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029463
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