タイトル |
多収・良質で中生熟期の業務・加工用水稲新品種「えみだわら」 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2007~2017 |
研究担当者 |
石井卓朗
佐藤宏之
後藤明俊
黒木慎
松原一樹
鈴木啓太郎
山口誠之
春原嘉弘
加藤浩
安東郁男
根本博
小林伸哉
平林秀介
竹内善信
常松浩史
太田久稔
前田英郎
池ヶ谷智仁
津田直人
田中淳一
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発行年度 |
2017 |
要約 |
「えみだわら」は、温暖地東部では出穂期、成熟期ともに"中"の粳系統で、業務・加工用品種「やまだわら」よりも登熟期間が短い。玄米収量が高く、玄米品質に優れる。炊飯米は粘りが弱いため、業務・加工用としての利用が期待される。
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キーワード |
イネ、中生、多収、業務・加工用米
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背景・ねらい |
業務・加工用としての米消費がすでに全体の約3割を占めている現状をふまえると、実需者ニーズの高い業務・加工用米を生産することは、米需要の維持・拡大を図る上で重要である。2011年に育成した業務・加工用品種「やまだわら」は、暖地を中心に普及が始まっているが、温暖地東部では、登熟期間が長く成熟期が遅くなるため、普及が進んでいない。そこで、温暖地東部でも栽培しやすいように、「やまだわら」よりも登熟期間が短く成熟期の早い業務・加工用品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「えみだわら」は多収で良質な業務・加工用米系統の開発を目標として、良質・良食味品種「イクヒカリ」と業務・加工用の多収系統「和1289(後の「やまだわら」)」とのF1に、「和1289」を交配した後代より育成された粳系統である。
- 育成地における「えみだわら」の出穂期、成熟期は"中"に属する。「やまだわら」よりも、出穂期は2日早く登熟期間が8日短いため、成熟期は10日早くなる(表1)。
- 「やまだわら」と比べて、稈長は同程度で、穂長は1cm程度短く、穂数は明らかに多い。草型は"中間型"である(表1)。
- 玄米収量は、「やまだわら」に対して、早植・標肥栽培で3%高く、73.5kg/aと多収である。千粒重は22.8gで「やまだわら」よりもやや大きい(表1)。
- 耐倒伏性は「やまだわら」並の"強"、穂発芽性は「やまだわら」並の"やや易"である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は、Pibを持つと推定される。圃場抵抗性は、葉いもちは"やや弱"、穂いもちは不明である。白葉枯病抵抗性は"弱"である。縞葉枯病には罹病性である(表1)。
- 玄米の外観品質は「やまだわら」より優れる。炊飯米は「コシヒカリ」よりも硬く、粘りが弱い(図1、図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 栽培適地は関東・北陸以西である。2019年度はJA全農みえ管内で約100haの作付けが見込まれる。
- 粘りの弱い特徴を活かして、冷凍米飯等の業務・加工用としての利用が期待される。
- 4-HPPD阻害型除草剤に感受性であるため、ベンゾビシクロン等の成分を含む除草剤は使用しない。
- いもち病真性抵抗性遺伝子"Pib"を持つが、葉いもち圃場抵抗性は弱いため、侵害菌の発生に注意するとともに、発生が見られた時は防除を徹底する.
- 縞葉枯病に罹病性なので、常発地での栽培は避ける。
- JA全農との共同研究「業務用米・飼料用米に適した多収品種の開発」の成果である。
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カテゴリ |
いもち病
加工
縞葉枯病
飼料用米
新品種
除草剤
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
良食味
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