国産ダイズ品種の染色体断片置換系統群

タイトル 国産ダイズ品種の染色体断片置換系統群
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究課題名
研究期間 2008~2017
研究担当者 渡辺啓史
清水武彦
町田佳代
坪倉康隆
ZhengjunXia
山田哲也
羽鹿牧太
石本政男
片寄裕一
原田久也
加賀秋人
発行年度 2017
要約 国産ダイズ品種「エンレイ」の遺伝背景に様々なストレス耐性遺伝子を持つ品種「Peking」の染色体断片を導入した染色体断片置換系統群は、ストレス耐性遺伝子の特定だけでなく複雑な農業形質の遺伝解析にも利用できる有用な実験系統リソースである。
キーワード CSSLs(染色体断片置換系統群)、QTL(量的形質遺伝子座)、SSRマーカー
背景・ねらい 染色体断片置換系統群(CSSLs)は、戻し交配により有用品種の染色体断片を取り込み、系統ごとに異なる断片が置換された系統群を指し、その差異が系統間の特性の差異として現れるため、複雑な遺伝様式の量的形質遺伝子座の特定など、イネでは非常に優れた実験系統リソースとして活用されている。CSSLsの開発には複数回の戻し交雑が必要であるが、ダイズは交配が難しいため、国産品種のCSSLsは開発されていない。そこで本研究では、ダイズシストセンチュウ抵抗性をはじめ様々な病虫害抵抗性および環境ストレス耐性遺伝子を持つ優れた遺伝資源である「Peking」の染色体断片を、国産優良品種「エンレイ」の遺伝背景に導入したCSSLsを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 「Peking」の全染色体を網羅するように選定された103系統のCSSLsは、「エンレイ」の染色体のどの部分が「Peking」の染色体断片に置換されているか320種類のSSRマーカーを用いて調べられており、注目する形質の系統間差異が見つかれば、即座に原因となる染色体領域の特定が可能である(図1)。
  2. 開発したCSSLsを用いると、未知の開花期のQTLを安定して検出できることから(図2)、これまで解析が困難であった複雑な農業形質の遺伝解析に利用出来る。
  3. 早晩性について見いだされた3種類の新規QTL(qDFF_Gm11、qDFF_Gm12、qDFF_Gm13)のうちqDFF_Gm11は、従来報告されている主要な開花期関連遺伝子とは異なり、成熟期間のみを短くする遺伝効果を持つ(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 開発したCSSLsは「Peking」が有する様々な環境ストレス耐性形質の評価、多数の遺伝子や小さな効果を持つ遺伝子が関与する農業形質等の形質評価に利用することにより、原因遺伝子の特定を加速化できる。
  2. 系統間の特性の差異を比較する場合は、目的とする染色体領域以外にも「Peking」の染色体断片が部分的に残存していることに留意して解析する必要がある。
  3. 3種類の新規QTL(qDFF_Gm11、qDFF_Gm12、qDFF_Gm13)を持つCSSLsは開花期や成熟期の変異を拡大する育種素材として利用可能であるとともに、近傍のDNAマーカーは開花期や成熟期の育種選抜に利用可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029425
カテゴリ 育種 遺伝資源 大豆 抵抗性 DNAマーカー 品種

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