クルマエビ養殖池における複合養殖アサリの餌料源の解明

タイトル クルマエビ養殖池における複合養殖アサリの餌料源の解明
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 増養殖研究所
研究課題名
研究期間 2015~2016
研究担当者 石樋由香
渡部諭史
松本才絵
山田英俊
発行年度 2017
要約 大分県のクルマエビ養殖池でアサリ複合養殖試験を行った。複合養殖されたアサリの餌料源は、炭素・窒素安定同位体比等から植物プランクトンと推定され、エビ飼料やクルマエビの糞の餌としての寄与は少ないと考えられた。糞や残餌は分解されて栄養塩となり、効率的に植物プランクトンが増殖していることが示唆された。
背景・ねらい アサリの生産量は、過去30年間減少の一途をたどり、最盛期の16万トンが2016年には8500トンにまで落ち込み、依然として回復のきざしは見えない。アサリ資源の減少要因の一つに、河川流量の減少や下水処理技術の高度化による餌不足が挙げられる。そこで瀬戸内海区水産研究所と(株)拓水は、2012年にクルマエビ養殖場でのアサリ複合養殖試験を実施し、殻長10mmの稚貝が半年で殻長30mmにまで成長することを確認した。また2015年には大分県農林水産研究指導センターが、殻長2mmのアサリ種苗をクルマエビ養殖池で半年養殖し、11トンものアサリを生産した。今後、クルマエビ養殖池で産業規模での複合養殖を行うためには、アサリの餌の種類や量を把握することが必要不可欠である。本研究では、クルマエビ養殖池でのアサリの複合養殖試験において、アサリの餌料源を推定した。
成果の内容・特徴 大分県のクルマエビ養殖池で実施したアサリ複合養殖試験において調査を行った。2015年11月に、アサリ、クルマエビ、クルマエビの糞、エビ飼料、懸濁態有機物(POM)、底生微細藻類の炭素・窒素安定同位体比(δ13 C、δ15 N)を分析した結果、複合養殖されたアサリの餌料源は、POMや底生微細藻類と推定され、エビ飼料やクルマエビの糞は、餌としての直接の寄与は少ないと考えられた。また2016年6月から12月まで、毎月1回、アサリを複合養殖したクルマエビ養殖池の海水中のクロロフィルa濃度と栄養塩濃度を測定した。養殖池のクロロフィル濃度は、外海水のクロロフィル濃度よりも数倍から100倍以上高く、POMに含まれる豊富な植物プランクトンがアサリの餌となっていることが示唆された。養殖池の栄養塩濃度は、外海水と比較するとDINはほぼ同程度だったが、PO 4 -PやSiO 2 -Siは養殖池の方が低かった。養殖池にはエビ飼料が投餌され、クルマエビからの排泄物や残餌の分解で、外海水よりも多くの栄養塩が添加されていると考えられるが、効率的に植物プランクトンが増殖して、より多くの栄養塩が利用されていることが示唆された。
成果の活用面・留意点 本研究は、クルマエビ養殖池での効率的な複合養殖技術の開発の基礎データとなる。より多くのデータを集積することにより、最適なアサリの複合養殖のマニュアル化に寄与する。
カテゴリ

この記事は