国内の牛群から分離される志賀毒素産生性大腸菌は3つのカテゴリーに分けられる

タイトル 国内の牛群から分離される志賀毒素産生性大腸菌は3つのカテゴリーに分けられる
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究課題名
研究期間 2013~2016
研究担当者 秋庭正人
李謙一
楠本正博
岩田剛敏
伊豫田淳
発行年度 2017
要約 国内の酪農または肥育農場で採材した牛糞便検体の半数以上から志賀毒素産生性大腸菌を分離できる。分離菌の性状は多様性に富むが、病原因子の有無から3つのカテゴリーに分けられる。
キーワード 牛、志賀毒素産生性大腸菌、分布率、病原因子
背景・ねらい 志賀毒素産生性大腸菌(STEC)は最も重要な食中毒起因菌の1つで、人に下痢、出血性腸炎、溶血性尿毒症症候群(HUS)、脳症等を引き起こす。重症例から分離される主要なO血清群はO157、O26、O111、O121、O103、O145、O165の7つとされる。主要な病原因子として付着因子を含む3型分泌機構や志賀毒素(Stx)が挙げられる。Stxにはいくつかのサブタイプが知られているが、人の病態発現に関与するサブタイプはStx1a、Stx2a等に限られる。
STECの主要な保菌動物は牛であり、加熱不十分な牛肉や挽肉が人の感染源として重要である。このほか、腐熟が不十分な牛糞堆肥中に残存するSTECが青果物に付着して、人の感染源となりうる。しかしながら、我が国の牛群におけるSTECの分布状況は不明であり、分離される菌株の特徴も十分明らかにされていない。本研究の目的は国内の牛群におけるSTECの分布率と分離菌株の特徴を明らかにすることである。
成果の内容・特徴
  1. 本報告は2013年から2014年に国内15県の110農場から収集した551の糞便検体を材料とした調査の結果である。
  2. STECが分離された農家は65(59.1%)で、検体は133(24.1%)である。
  3. 分離菌112株の中に43の異なるO血清群が含まれる。人の重症例から分離される血清型としてはO26(5株)、O103(2株)、O157(2株)、O121(1株)、O145(1株)が認められる(表)。
  4. 病原因子遺伝子の有無をもとにクラスター解析を行うことで、分離菌をeae陽性STEC(16株)、saa陽性STEC(39株)、eae/saa陰性STEC(57株)の3つのカテゴリーに分けることができる(図)。
  5. eae陽性STECは人の病態発現に関与するstx1a、stx2a、hlyAのほか、3型分泌機構関連遺伝子群、terC、efa1、stcE、katP等を保有し、人の重症例から分離される上記5血清型が含まれる。
  6. saa陽性STECはLPA、PAIICL3等のほか、eae陽性STECと同様、stx1a、stx2a、hlyAを保有しており、人に対して病原性を有する可能性がある。
  7. eae/saa陰性STECが保有するstx遺伝子サブタイプは多様であり、保有する病原因子にも多様性が認められる。人に対する病原性は不明である。
成果の活用面・留意点
  1. 国内の牛群はSTECを高率に保菌しているが、今のところ保菌率を確実に低減できる技術は実用化されていない。本菌による人の感染症の発生を低減するためにはフードチェーンアプローチによる対策の徹底が必要である。
  2. eae陽性STECは亜テルル酸耐性遺伝子を保有するが、その他のSTECは保有しない。人に対して病原性を有する可能性のあるsaa陽性STECが既存の亜テルル酸含有培地では分離できないことに留意する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029303
カテゴリ 乳牛

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