家畜尿汚水浄化処理に関する実測に基づく精緻化された温室効果ガス排出係数

タイトル 家畜尿汚水浄化処理に関する実測に基づく精緻化された温室効果ガス排出係数
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究課題名
研究期間 2011~2017
研究担当者 長田隆
白石誠
水木剛
高取健治
長谷川輝明
河原弘文
発行年度 2017
要約 養豚、乳用牛の浄化処理における温室効果ガス排出量を実施設で実測し、その排出係数を精緻化した。N2O排出係数は現行係数5%の半分程度で、汚水浄化処理に伴う全国の温室効果ガス排出量算定値は従前推定に比べ60万トン(CO2換算)/年程度減少する。
キーワード 汚水浄化、家畜、排出係数、GHG、実処理施設
背景・ねらい 畜産分野からの温室効果ガスは、家畜生産段階のすべてで発生が確認されており、生産性、品質を維持・向上しながらも、温暖化抑制型の生産体系の確立が求められている。このため、「パリ協定」の第4条で先進国締約国に求められた緩和(排出削減)に対する「農林水産省地球温暖化対策計画」に基づく畜産業からの貢献を内外に示すことが重要である。気候変動枠組み条約及び関連する締約国際会議に規定された自国の温室効果ガスの排出・吸収目録(温室効果ガスインベントリ)を我が国も毎年提出しているが、家畜排せつ物管理からの排出量算定方法にも継続的な改善が推奨されている。そこで、特に排出量が大きく、日本の集約的家畜生産に不可欠な尿汚水浄化処理起源の排出係数を実施設における温室効果ガスの排出測定にもとづいて精緻化する。
成果の内容・特徴
  1. 調査測定対象は国内の家畜生産施設に付帯する実規模の尿汚水浄化処理施設である。排出係数を求める手順は以下の通りである。
    1)各施設の投入汚水と浄化処理水の性状(有機物濃度、窒素濃度等)を週2回以上分析して各測定期間中の排出係数を算出する。
    2)主たる浄化反応槽である曝気槽とともに貯留槽や沈殿槽など施設全体の反応槽を評価対象として、各施設の温室効果ガス排出量(あるいはフラックス)を、高温期と低温期のそれぞれについて3~8週間程度の期間実測する。
    3)ブロアでチャンバー内を定量換気しながら、30分間隔で入気と排気中の温室効果ガス濃度を測定し、その差異と換気量の積から各処理槽からの時間当たり温室効果ガス量を算出する(図1、2)。
  2. 国内5ヶ所の浄化処理施設の年間測定結果より算出された豚舎排水浄化処理からの排出係数は0.91%(g CH4/g有機物)、2.87%(g N2O-N/g窒素)である(図3)。
  3. 乳用牛浄化処理からの排出係数は、岡山県畜産総合センタ内浄化処理施設における6年間の様々な処理条件下の排出に基づいて算出しており、0.30%(g CH4/g有機物)、2.88%(g N2O-N/g窒素)である(図3)。
  4. 実測に基づき精緻化された排出係数を豚と乳用牛・肉牛に適用した場合、汚水浄化区分の年間排出量はCH4では2.29万t増(CO2換算)、N2Oでは64.6万トン減(CO2換算)となり、温室効果ガス全体では約60万トンの低減(CO2換算)となる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農業および環境行政担当者、研究者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:日本国および地方自治体。今後東アジア各国のインベントリ算定の参考になる可能性有り(タイ、ベトナム、台湾、韓国、中国)。
  3. その他:今回提案されたN2O及びCH4排出係数は、2018年度版の「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」に採用される予定である(豚の浄化処理に関しては先行して採用されている)。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029288
カテゴリ 温暖化対策 肉牛

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