クリ蜜はアメリカ腐蛆病菌に対して抗菌性を示す

タイトル クリ蜜はアメリカ腐蛆病菌に対して抗菌性を示す
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究課題名
研究期間 2015~2017
研究担当者 木村澄
芳山三喜雄
ストイッチュ マルコ
発行年度 2017
要約 クリの花から採集した蜂蜜は、アメリカ腐蛆病菌(Paenibacillus larvae)に対して高い抗菌活性を持つ。その抗菌性は、クリ蜜の純度が高いほど、またpHが高いほど高い傾向にある。
キーワード クリ蜜、アメリカ腐蛆病菌、阻止円、抗菌活性
背景・ねらい 養蜂で最も重要な疾病であるアメリカ腐蛆病は、芽胞がミツバチの幼虫に経口感染し、敗血症死を引き起こす蜂病である。感染した幼虫は腐り、粘稠性を示す。我が国では家畜伝染病予防法における法定伝染病である。アメリカ腐蛆病の抑制には抗生物質が広範に使用されている。しかし、抵抗性を持つ菌の出現が問題となり、抗生物質に変わる抑制方法の開発が求められている。蜂蜜は、以前より多くの細菌に対して、抗菌作用を持つことが知られている。また、先行研究で、クリ蜜(クリの花からミツバチが採集した花蜜由来の蜂蜜)がBacillus属の細菌に対して抗菌活性が高いことが明らかになっていたことから、同様に芽胞を形成する近縁のPaenibacillus属であるアメリカ腐蛆病菌に対する、クリ蜜の効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. アメリカ腐蛆病菌に対しての蜂蜜の抗菌活性は、阻止円試験によって判定する(図1)。寒天培地に一定量のアメリカ腐蛆菌を接種し、寒天培地に開けた穴に一定量の蜂蜜を流し込み、一定時間培養後、形成された発育阻止円の大きさを計測する。
  2. 他の蜂蜜と比較してクリ蜜は大きな阻止円を形成し、アメリカ腐蛆病に対して強い抗菌活性を持つ(図2)。
  3. 阻止円の大きさはクリ蜜を採蜜した地区(日本4箇所,クロアチア4箇所)によって異なるがすべてのクリ蜜が阻止円を形成する。
  4. 蜂蜜に含まれる全花粉中のクリ花粉の割合(クリ蜜の純粋性の指標)が高いほど、大きな阻止円を形成し、クリ蜜の純度が抗菌活性に影響する(図3)。
  5. pHが高いほど抗菌活性が高い(図4)。
  6. アメリカ腐蛆病菌に対して抗菌活性を示す蜂蜜の発見は、世界で初めての報告と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 移動養蜂の中でクリ開花期にクリ畑への転飼を取りいれ、働き蜂腸内のアメリカ腐蛆病菌を抑制する方法、砂糖液の代わりにクリ蜜を餌として給餌する方法などが考えられる。
  2. クリ蜜は、その独特のにおいから、日本における嗜好性が非常に低い。
  3. クリ蜜でこのような高い抗菌活性を示したことは、クリ蜜以外にも同様な抗菌活性を持つ蜜がある可能性を示唆する。
  4. クリ蜜の持つ抗菌活性の理由については、明らかになっていない。クリ蜜中のクリ花粉は微量であるので、花粉が抗菌活性の原因である可能性は低い。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029281
カテゴリ くり 抵抗性 ミツバチ

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