ビタミンA制限は黒毛和種去勢肥育牛胸最長筋の遺伝子発現を変える

タイトル ビタミンA制限は黒毛和種去勢肥育牛胸最長筋の遺伝子発現を変える
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 林征幸
木戸恭子
甫立京子
発行年度 2017
要約 ビタミンA給与制限下で肥育された黒毛和種去勢牛の胸最長筋における遺伝子発現をマイクロアレイにより網羅的に解析すると、脂質生合成や細胞外マトリクスなどに関係する遺伝子の発現が変化している。これらの変化と脂肪交雑に関係がある可能性がある。
キーワード 黒毛和種、肥育牛、ビタミンA給与制限、胸最長筋、マイクロアレイ
背景・ねらい 黒毛和種肥育牛においては、脂肪交雑の程度の増加を目的としたビタミンA給与制限が多く行われているが、その生理的機構には未知の部分が多い。本研究では、黒毛和種去勢牛へビタミンA給与制限を行い、胸最長筋の遺伝子発現をマイクロアレイにより網羅的に解析すると共に、変動の見られた遺伝子のリストを機能解析することで、ビタミンA給与制限が黒毛和種去勢肥育牛の胸最長筋遺伝子発現に与える影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 13~14ヶ月齢の黒毛和種去勢牛(n=6)を二群に分け、給与区にはビタミンAを給与し、制限区にはビタミンA欠乏にならない程度のビタミンA給与制限を行い7ヶ月間肥育すると、制限区においては血中ビタミンA濃度の低下が見られる。試験終了時の胸最長筋粗脂肪含量は制限区の方が高いが統計学的に有意ではない。
  2. と畜後採材した胸最長筋のマイクロアレイ解析をAffymetrix Genechip Bovine Genome Arrayにより行い、Distribution Free Weighted法により標準化を行いRank Products法により統計解析を行うと、給与区と比較して制限区においてシグナルが有意に強いプローブが63、弱いプローブが52見られる。
  3. 機能アノテーション解析プログラムであるDAVIDで、有意な差の見られたプローブのリストを解析すると、制限区で高発現である遺伝子が48(一部を表1)、低発現である遺伝子が40(一部を表2)同定できる。これらの遺伝子がビタミンA給与制限時の脂肪交雑改善に関係している可能性がある。
  4. DAVIDでこれらのリストの特徴を解析すると、制限区で高発現である遺伝子には"PPARシグナル伝達"、"脂質生合成"、"ミトコンドリア""等に関係するものが多く、低発現である遺伝子には"細胞外マトリクス"等に関するものが多い。これらの機能等の変化がビタミンA給与制限時の脂肪交雑改善に関係している可能性がある。
  5. マイクロアレイ解析において制限区で高発現であった遺伝子(表1に示していない遺伝子も含む)のうち、5つについてリアルタイムPCR法によりmRNA発現量を確認すると、制限区においてCD36が有意に高発現であり、glycerol-3-phosphate acyltransferase、mitochondrial(GPAM)およびdiacylglycerol O-acyltransferase homolog 2(DGAT2)が高発現である傾向が見られる(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 黒毛和種去勢牛の筋肉におけるビタミンA給与制限により発現量が変化する遺伝子のデータとして、ビタミンAと脂肪交雑の関係解明に利用できる。
  2. 本研究におけるマイクロアレイのデータは、公共データベースであるNCBI GEOデータベースに登録し公開されており(GSE94886)、本研究とは異なるアルゴリズム(標準化・統計解析)で自由に再解析ができる。
  3. 本研究で得られた成果はmRNA発現量に関するものであり、これらの遺伝子と脂肪交雑の関係の詳細については、さらなる検討の必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029270
カテゴリ データベース 肉牛

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