ゲノミックセレクションのカンキツ育種での有効性

タイトル ゲノミックセレクションのカンキツ育種での有効性
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究課題名
研究期間 2013~2017
研究担当者 野中圭介
南川舞
神沼英里
鐘ヶ江弘美
小野木章雄
後藤新悟
吉岡照高
今井篤
濱田宏子
林武司
松本敏美
片寄裕一
豊田敦
藤山秋佐夫
中村保一
清水徳朗
岩田洋佳
発行年度 2017
要約 大量のDNAマーカー情報から特性を予測する'ゲノミックセレクション'はカンキツの果実の重さ、果皮および果肉の色や果皮のむきやすさなどの重要な果実特性を芽生えの段階で高い精度で予測でき、品種改良に有用である。
キーワード カンキツ、ゲノミックセレクション、果実特性、DNAマーカー、幼苗選抜
背景・ねらい 近年、家畜育種の分野を中心に新たな選抜法であるゲノミックセレクションが注目され、実用化が進んでいる。ゲノミックセレクションでは、任意の品種・系統間における特性の違いと大量のDNAマーカー情報との関係を数式で表した予測モデルを作成し、これを使用することで、新たに養成した個体についてもDNAマーカーの情報のみで高精度に特性を予測することができる(図1)。果樹の場合、果実がまだつかない芽生えの段階でも、DNAマーカーの情報を得て、ゲノミックセレクションを利用すれば、多くの特性について有望な個体だけを選抜して圃場に植え付けることができ、実質的な評価個体数を大幅に増加できるものと期待される。また、この手法では、従来のDNAマーカー選抜法では適用が難しかった多数の遺伝子が関与する特性にも適用可能であることが示されている。そこでゲノミックセレクションのカンキツ育種への応用を目指し、その有効性を検証する。
成果の内容・特徴
  1. 農研機構のカンキツ育種で交雑親として用いているカンキツ111品種・系統および35の交配組み合わせから養成した676個体を合わせた合計787個体における果実重、果皮の色、皮のむきやすさ、糖度および酸含量など17項目の果実特性とゲノム全体を網羅する1841個のDNAマーカーの情報を用いてゲノミックセレクションの予測モデルを作成した(図1)。
  2. この予測モデルにより果実重、果実の硬さ、果皮の色、果皮のむきやすさ、果肉の色、じょうのう膜のやわらかさを精度良く(観測値と予測値との相関係数(r)が0.7より大きい)予測できる。また、果皮の滑らかさ、多汁性、種子の多少、糖度なども比較的高い精度(r が0.6程度)で予測できる(図2)。
  3. 果実重、香りの多少、多汁性および糖度は、ゲノミックセレクションを利用することにより従来のDNAマーカー選抜よりも精度の高い選抜が可能である(図2)。
  4. 選抜に有効な予測モデルは、従来のDNAマーカー選抜法と異なり、新たに交雑集団等を養成しなくても、既存の品種・系統や過去の育種で育成した個体などを利用することで作成できる
成果の活用面・留意点
  1. 選抜の精度をさらに向上させ、適用可能な特性を拡大するためには、予測モデルの作成に利用するDNAマーカーの数を増やすほか、果実特性の評価方法を官能評価から機械測定などで数値化する、あるいは測定点数を増やすなど高度化していく必要がある。
  2. 今回作成した予測モデルを大きく異なる栽培環境での予測に使うには検証が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029240
カテゴリ 育種 DNAマーカー 品種 品種改良 その他のかんきつ

この記事は