リンゴ果肉組織の細胞間隙溶液量による収穫適期の判定

タイトル リンゴ果肉組織の細胞間隙溶液量による収穫適期の判定
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究課題名
研究期間 2013~2017
研究担当者 岩波宏
守谷友紀
本多親子
花田俊男
佐々木真人
川守田真紀
吉田昌史
発行年度 2017
要約 リンゴ果実は成熟にともなって果肉組織の細胞間隙溶液量が増加し、果汁を多く感じるようになる。樹上の果実の細胞間隙溶液量を近赤外分光分析装置でモニターすることで、果汁が多く食味のよい果実を収穫することができる。
キーワード 果汁、含水率、硬度、糖、みつ
背景・ねらい 品種のブランドイメージを高めるには、その品種の一番おいしい時期に収穫された果実だけが常に流通し販売されていることが重要である。同じ品質の果実が毎年どの産地でも収穫されるためには、その品種のおいしい時期がいつなのかを明確にし、その時期をわかりやすく示す指標を作る必要がある。これまで収穫適期の判定には、果皮表面色や地色の変化をみるカラーチャートが一般に用いられている。しかし成熟期に果皮色の変化の少ない品種では難しく、また、これら成熟にともなう外観の変化が必ずしもおいしさと結びついているわけではない。そこで、おいしさと密接に関係する形質を抽出するとともに、その形質の変化を非破壊でモニターする方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 味や肉質に関係する形質の成熟期における変化のうち、食味を重視して判定した収穫適期(完熟で最もおいしくなった時期)と密接に関係しているのは果肉組織の細胞間隙溶液量の変化である(図1)。細胞間隙溶液が増えると果汁が多いと感じるようになり、細胞間隙溶液のこれ以上の増加が見込めないと判断された時が収穫適期と言える。
  2. みつの入る品種では、みつの量が増えると細胞間隙溶液量も増加する。
  3. 成熟期間中の果実から近赤外スペクトルデータを採取し、細胞間隙溶液量を推定する回帰式を作成すると、回帰式により推定した値と実際の測定値とはよく一致する(図2)。携帯型の近赤外分光分析装置を用いることで、非破壊で成熟期間中の細胞間隙溶液量の変化をモニターすることができる(図3)。
  4. 収穫直前に細胞間隙溶液量が急増する「大夢」のような品種では、細胞間隙溶液量を指標に収穫時期を決定することで、果汁の多い良食味果実を安定して出荷することができる。
  5. 以上のことから、食味を重視した収穫適期の判定指標として細胞間隙溶液量の非破壊測定は有用である。
成果の活用面・留意点
  1. 細胞間隙溶液は、果肉組織からくり抜いた果肉切片(直径20mm,厚さ24mm)を1,500 x gで60分遠心分離して得られる溶液とする(細胞間隙溶液量=遠心分離して得られる溶液量(g)/果肉切片の新鮮重(g)x100)。
  2. 細胞間隙溶液量の非破壊測定のためには、近赤外分光分析装置で得られた近赤外スペクトルから細胞間隙溶液量を推定する検量線を作る必要がある。フルーツセレクターで検量線を作る際は、熟度の異なる果実30果程度を用意し、果実の陽向面と陰向面の2カ所からスペクトルデータを採取するとともに、測定部位の果皮直下の果肉組織から果肉切片をくり抜き、細胞間隙溶液量を測定する。
  3. 検量線は品種ごとに作成する。異なる年次や園地の果実でも適用できるか検証し、精度が悪い場合はそれぞれの年次や園地のデータも合わせた検量線を作る。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029237
カテゴリ カラー くり 出荷調整 品種 良食味 りんご

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