振動ローラの導入により麦作後の速やかな水稲乾田直播栽培が可能

タイトル 振動ローラの導入により麦作後の速やかな水稲乾田直播栽培が可能
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2017
研究担当者 中野恵子
深見公一郎
大段秀記
土屋史紀
岡崎泰裕
小荒井晃
田中良
住吉正
発行年度 2017
要約 麦作後の水稲乾田直播では、振動ローラによる鎮圧を行うことで漏水が防止され、安定した栽培が可能になる。漏水防止効果は鎮圧時の土壌水分の影響を受けるが、作業直前に地表際の土壌を握って固まれば、適正水分であると判断できる。
キーワード 振動ローラ、二毛作、土壌水分、漏水防止
背景・ねらい 水稲乾田直播栽培は、現場喫緊の課題である水稲栽培の省力化を実現する栽培方法であるため、二毛作地帯である北部九州においても普及が期待されている。しかし、二毛作では、麦類と水稲の作付け切り替え期間が短く、この間に漏水防止策を講じることが難しいことが普及を妨げる一因となっている。そこで、大きな鎮圧力を期待できる振動式のローラを活用し、麦作後速やかに乾田直播栽培を実施できる漏水防止技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 麦収穫後、水稲を播種したのち振動ローラで鎮圧する作業工程である(図1、2)。
  2. 振動ローラは、振動により土壌へのインパクトを高めるもので、比較的小さなトラクタに装着・使用できる。また、本研究で使用した振動ローラは、出力20~40PSのトラクタで利用でき、3点リンク直装式であるため圃場内の旋回や圃場間移動での機動性に優れる。
  3. 鎮圧により十分な漏水防止効果を得るためには、土中の粗大な間隙の変形が必要であり、土壌が塑性限界程度に濡れていることが重要である。ほ場では、適正水分かを表層の土を握って土が固まるか否かで判断できる(図3)。前起こしをしない一工程播種との組み作業にすると(図2)、適正な水分条件に整いやすい。
  4. 水稲作直前の水田耕盤の透水性から漏水程度大と予見されたほ場でも、この適正水分での鎮圧工程の実施により減水深を適正値である20mm/日以下に抑えられる(表1)。また、鎮圧実施ほ場の水稲収量は慣行の移植ほ場に比べてそん色ない。
  5. 鎮圧作業にかかる時間は10a当たり30~40分程度である(実測をもとに計算)。一工程播種との組み合わせにより、より短時間で麦作から水稲作への切り替えが可能であり、移植(2015年産統計値:九州、水稲作付平均111.7a)に比べて総労働時間を5割削減できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:米麦二毛作をおこなう生産者。特に、経営耕地面積15~20haで稲麦大豆2年4作体系を採用し、播種作業にオペレータ2名を確保可能な経営体において有効と考えられる。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:冬作後の水稲作を行う地域、100ha。
  3. その他:本技術の詳細は、「水稲乾田直播を核としたアップカットロータリの汎用利用による稲・麦・大豆輪作技術マニュアル」(https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/c66cbc61d4cbeccdfae83e09b0c8d46e.pdf)の中で公表している。従来の麦播種機や部分浅耕(福岡県開発)との組み合わせも実施可能である。
  4. 本技術により乾田直播栽培が可能なことは、筑後平野に広がる灰色低地土の軽埴土、埴壌土および壌土で確認している。
  5. 川辺農研産業(株)製の振動ローラ(SV2-T、重さ280kg、60万円程度)を用いた結果である。
  6. 振動ローラによる鎮圧は、畦畔から横への漏水を防止するものではない。横漏れが激しい水田では移植栽培と同様に畦塗りをする、縁辺をタイヤで踏圧する等の防止対策が必要である。また、鎮圧は、漏水問題のないほ場でも出芽の安定化やその後の作業安定性の効果が期待できる。この場合、作業時水分にはこだわらない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029211
カテゴリ 乾田直播 経営管理 省力化 水田 水稲 大豆 二毛作 播種 輪作

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