水稲の開花期における高温不稔耐性を再現良く効率的に評価できるシステム

タイトル 水稲の開花期における高温不稔耐性を再現良く効率的に評価できるシステム
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2015~2017
研究担当者 羽方誠
和田博史
増本(久保)千都
田中良
佐藤宏之
森田敏
中野洋
発行年度 2017
要約 水稲高温不稔耐性評価システムは、人工気象室において、ランプから穂までの距離を個体間で一定にできる機能を持ち、稈長の異なる多数の水稲品種・系統の高温不稔耐性を、年間を通して同一条件で再現良く効率的に評価することができる。
キーワード 水稲、高温不稔耐性、温暖化、開花期、人工気象室
背景・ねらい 今後、地球温暖化が進行すると予想されるため、水稲の開花期の高温により不受精となる高温不稔の発生頻度が増し、収量低下リスクが高まると考えられる。このため、高温不稔の発生は、米の安定供給を揺るがしかねない極めて重要な問題である。これまでに、「N22」等の高温不稔耐性を持つ品種は見出されているものの、耐性を年間通して再現良く効率的に評価できるシステムがないことが一因となり、耐性品種の育成が進んでいない。
そこで本研究では、人工気象室において、育種素材開発や品種育成等に活用できるような稈長の異なる多数の品種・系統の高温不稔耐性を、年間を通じて同一条件で再現良く評価できるシステムを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本システムでは、内部にメタルハライドランプ24基及び最大216ポットを設置可能な水槽を装備した人工気象室2室を使用する。水槽内のポットは、3cm毎に15cmまで高さを調整できる機能があり、高温処理時にランプから穂までの距離を一定にすることにより、稈長の違いによりランプから放出される赤外線による穂温上昇の影響の差異を排除できる(図1)。
  2. 評価する水稲は、播種2週間後の幼苗を専用ポットに移植し、人工気象室内で常温条件(26°C(昼13時間)/22°C(夜11時間))にて、分げつを切除しながら、出穂まで生育させる。出穂時に高温条件(35°C(昼13時間)/29°C(夜11時間))に設定した人工気象室に移動させ、穂の高さを水面から70cmに設定し、高温処理を3日間行う。処理後は、常温条件の人工気象室に戻し、40日間登熟させた後、穂をサンプリングし、稔実率を調査する(図2)。
  3. 高温不稔耐性の品種間差異の検出に適した温度条件は、35°C(昼13時間)/29°C(夜11時間)である(図3)。
  4. 温度勾配型チャンバー(TGC)等を利用した試験において高温不稔耐性を持つとされる「N22」、「IR36」及び「IR24」は、本システムにおいても、耐性が高く評価される(図4)。また、本システムでは、品種の耐性評価の再現性が高く(Spearmanの順位相関係数r=0.837、1%水準で有意差あり)、安定した評価結果が得られる。このため、本システムは、高温不稔耐性品種・系統の検出能力を十分に有する。
成果の活用面・留意点
  1. 本システムは、稈長および出穂期の異なる多数の水稲品種・系統の高温不稔耐性を、年間を通して同一条件で再現良く評価することができるため、育種素材開発や品種育成に活用できる。
  2. 評価結果の再現性は、19品種を用いた2回の耐性評価試験(35°C/29°C・3日間高温処理)で調べた。
  3. 本システムの評価結果は、今後、圃場での評価結果と比較検証する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029178
カテゴリ 育種 水稲 播種 品種

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