タイトル |
安定生産のために地温情報を組み入れた畝立後太陽熱土壌消毒「陽熱プラス」 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2013~2016 |
研究担当者 |
橋本知義
井原啓貴
越智直
嶋谷智佳子
杉戸智子
浅川晋
村瀬潤
三宅英伸
橋本真穂
衛藤夏葉
菱池政志
松下修門
林恭平
岡田武彦
大谷洋子
林恭弘
尾崎哲郎
中尾敬
小川哲治
茶谷正孝
渡邊亘
永尾亜珠沙
福吉賢三
黒木利美
加藤三郎
野﨑克弘
篠原陽子
寺本敏
櫛間義幸
平原哲郎
早日早貴
福田武美
有簾隆男
大場和彦
下高敏彰
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発行年度 |
2017 |
要約 |
現場の地温の実測、あるいはアメダスデータを利用した日最高地温推定値から、消毒効果や土壌窒素無機化量等を評価する。畦立後太陽熱土壌消毒に適した肥料を組み合わせることで、実エンドウ施設栽培やトマト促成栽培等の安定生産ができる。
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キーワード |
太陽熱土壌消毒、積算地温、消毒効果、窒素可給化量、陽熱プラス
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背景・ねらい |
圃場表面を被覆し、高地温を一定期間維持する太陽熱土壌消毒は、病原菌だけではなく土壌環境全体に影響する。有機物や肥料など土壌混和後に、畦立と太陽熱土壌消毒を実施する畝立後消毒(白木ら、1998)の普及拡大には、消毒効果の目安となる積算地温の判断方法と土壌生態系への影響評価方法の開発が必要である。
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成果の内容・特徴 |
- 現場の地温を計測することで、また地温計を設置しない場合には近隣のアメダスデータの日最高気温と日照時間(気象庁が公開しているデータ)から推定式[露地の場合:日最高地温=1.3×日最高気温+1.2×日照時間-9.3,施設の場合:日最高地温=10.6×(1.3×日最高気温+1.2×日照時間)-9.3)0.40]により計算される日最高地温推定値から、太陽熱土壌消毒期間の積算地温を推定し、消毒効果を判断する(図1)。
- 積算地温を目安とする判断根拠を設定することで、土壌病原菌の消毒効果だけではなく、土壌からの窒素無機化量(図2)、硝化菌等土壌生物機能の変動を評価できる。地温情報を利用した防除効果や養分供給効果の見える化等を組み入れた作業体系を「陽熱プラス」とする。
- 和歌山県南部地域等を対象にした実エンドウ秋まき冬春どりハウス栽培において、微生物分解型緩効性肥料と有機質肥料を原料とする配合肥料を用いた陽熱プラスは、省力(無追肥)・減肥(慣行栽培にくらべて窒素施用量を20%削減)となる。
- 宮崎県等西南暖地を対象にした促成トマト等施設栽培において、焼酎粕を原料とする特殊肥料を用いた陽熱プラスは、初期の生育が旺盛で、土壌消毒効果も安定する。トマト促成栽培の場合、慣行防除と比較して施肥及び防除の資材費を30%低減する(表1)。
- 以上の成果概要を、カラーパンフレットと作業手順の動画資料として公表する(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:太陽熱土壌消毒に取り組む生産者や普及指導機関関係者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:和歌山県南部地域等実エンドウの省力化栽培を目指す地域(5ha)、宮崎県等西南暖地で太陽熱土壌消毒を実施する施設園芸生産地帯(111ha)等への普及を目指す。
- その他:微生物分解型緩効性肥料と有機質肥料を原料とする配合肥料は片倉コープアグリ(株)が、焼酎粕を原料とする特殊肥料は雲海酒造(株)が販売する。
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カテゴリ |
カラー
施設園芸
施設栽培
省力化
施肥
トマト
土壌環境
土壌消毒
防除
実えんどう
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