WCS用稲「たちすずか」の高品質サイレージ調製には黄熟期以降の収穫が良い

タイトル WCS用稲「たちすずか」の高品質サイレージ調製には黄熟期以降の収穫が良い
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究課題名
研究期間 2015~2017
研究担当者 草佳那子
上垣隆一
木村俊之
発行年度 2017
要約 「たちすずか」を乳熟期にサイレージ調製すると、材料草の乾物率・単少糖類含量が低いため、乳酸菌を添加しても不良発酵するが、黄熟期以降は材料草の乾物率・単少糖類含量が高まるため良好に発酵し、窒素多肥条件下でも良質なサイレージが調製できる。
キーワード サイレージ発酵品質、収穫時期、たちすずか、単少糖類含量、窒素施肥
背景・ねらい 稲発酵粗飼料(WCS)用の高糖分稲「たちすずか」は、未消化となる籾が少なく、乳酸発酵に必要な単少糖類に加えてデンプン含量も高い特性から畜産農家の評価が高く、更なる普及が期待されている。WCS用稲の収穫適期は黄熟期とされているが、繊維消化率の高い粗飼料を求める酪農家の要望や農作業競合等により、出穂期前後から完熟期以降までの様々な時期に収穫されているのが実態である。また、従来の高糖分稲ではないWCS用稲品種では、収量向上のために窒素多肥栽培すると、サイレージ発酵品質が低下することが知られている。これに対して、収穫時期や窒素施肥量の違いが「たちすずか」サイレージの発酵品質と化学成分に及ぼす影響は明らかとなっていない。これより、「たちすずか」の高品質サイレージ調製に適した収穫時期および窒素施肥量の影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 「たちすずか」材料草の乾物率、穂重割合、乾物収量、単少糖類、デンプンおよびビタミンE含量は乳熟期よりも黄熟期以降に高くなる(表1)。
  2. 乳熟期の材料草の乾物率はサイレージ調製に適する乾物率35-50%よりも低く、単少糖類含量は7%以下と他の時期よりも低い。これをサイレージに調製すると酪酸およびVBN(塩基性揮発態窒素)が蓄積し、乳酸菌を添加しても不良発酵する(表1、2)。
  3. 黄熟期の材料草の乾物率はサイレージ調製に適する35%以上となり、単少糖類含量も8%以上に高まる。黄熟期に調製したサイレージは良好に発酵し、発酵後も単少糖類が残存する。乳酸菌を添加すると酪酸の蓄積がさらに抑制される(表1、2)。
  4. 完熟期の材料草の乾物率および単少糖類含量は黄熟期よりも高いが、乳酸菌を添加しない場合は乳酸発酵が促進されずサイレージのpHが低下しないため、糸状菌が残存する。しかし、乳酸菌を添加すると良好に乳酸発酵が進むため、完熟期の「たちすずか」をサイレージ調製する際は乳酸菌の添加が必須である(表1、2)。
  5. 材料草の乾物収量は窒素施肥量が多いほど増加するが、逆に穂重割合は窒素施肥量が少ないほうが高い。また、材料草の単少糖類含量は窒素施肥量が多いほど高い(表1)。
  6. 20kg/10aの極多肥条件でも良質なサイレージが調整できるが、10kg/10aと収量は同等で倒伏リスクが高いため(表1、2)、10kg/10a程度の窒素施肥と黄熟期以降の収穫・調製により、「たちすずか」の高糖分稲の特徴を生かしたサイレージ生産ができる。
成果の活用面・留意点 中央農研谷和原水田圃場(細粒灰色低地土)において2015年5月に移植栽培した「たちすずか」を材料草としてパウチサイレージ法で調製した結果である。同様の特性を持つ品種を栽培し、イネWCSとして収穫・サイレージ調製する際の参考となる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029132
カテゴリ サイレージ調製 収量向上 水田 施肥 乳牛 品種

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