イネ高温登熟障害において乳白粒の発生に関与するα-アミラーゼ遺伝子の特定

タイトル イネ高温登熟障害において乳白粒の発生に関与するα-アミラーゼ遺伝子の特定
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2017
研究担当者 山川博幹
中田克
深松陽介
宮下朋美
羽方誠
黒田昌治
山口武志
発行年度 2017
要約 登熟期の高温が米の外観品質を損ねるイネ高温登熟障害では、高温に遭遇した未熟種子の胚乳でα-アミラーゼAmy1AAmy3C、およびAmy3D遺伝子が発現し、蓄積したデンプンを糖に分解することで、乳白粒の発生が助長される。
キーワード イネ、高温登熟障害、乳白粒、α-アミラーゼ、胚乳
背景・ねらい 近年の温暖化によって、わが国の水稲生産では高温登熟障害が問題となっており、生産現場ではその解決が望まれている。登熟期に高温に遭遇すると、胚乳部分が白く濁ってみえる乳白粒が多く発生し、検査等級が低下するため、その発生要因の究明が求められている。
胚乳の白濁化は高温で胚乳デンプンの充填が不十分となることが原因であり、デンプン分解酵素α-アミラーゼが高温で活性化されることが、デンプン蓄積を妨げる一因と考えられている。これまでにイネの8個のα-アミラーゼ遺伝子の発現を一斉に抑制することで、乳白粒の発生が低減することを明らかにしてきたが、それらのうち、8個の遺伝子いずれもが胚乳の白濁化に関わっているかは、不明である。
そこで、各々のα-アミラーゼ遺伝子の登熟期種子での発現部位と、登熟期胚乳での発現が玄米の外観品質に及ぼす影響を個別に調べることで、乳白粒の発生に関与するα-アミラーゼ遺伝子を特定し、高温登熟耐性イネ開発のための基盤的知見を収集する。
成果の内容・特徴
  1. 登熟期の高温によって、Amy2Aを除くすべてのα-アミラーゼ遺伝子の発現が胚盤周辺で上昇する。それに加えてAmy1A、Amy3C、Amy3Dは、それぞれ胚乳の背側半分、中心部から背側にかけて、腹側糊粉層付近においても発現が誘導され、発現部位が胚乳白濁部位と一致する(図1A)。
  2. Amy3E以外のα-アミラーゼは、登熟期種子胚乳での強制発現によって、デンプン粒の分解を促し、乳白粒を生じる(図1B)。また、胚乳のデンプン蓄積量の減少に伴って、グルコース、マルトース、スクロース、マルトトリオース、マルトテトラオースが蓄積する。
  3. 1および2から、高温に遭遇した登熟途中の種子において、Amy1A、Amy3C、Amy3Dが胚乳で発現し、蓄積デンプンを分解することが、乳白粒の発生を助長する要因と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. Amy1A、Amy3C、Amy3Dが働かなくなった変異イネ等を探索し、利用することによって、乳白粒が発生しにくい高温登熟耐性イネを開発できる可能性がある。
  2. α-アミラーゼ遺伝子を欠損すると、種子発芽遅延などの影響が現れる可能性がある。しかしながら、すべてのα-アミラーゼ遺伝子を欠損させずに、登熟期胚乳で発現する遺伝子のみを欠損させることで、影響を最小限に抑えることが可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029126
カテゴリ 水稲

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