漏水の可能性からみた水稲乾田直播栽培を行うための土壌条件

タイトル 漏水の可能性からみた水稲乾田直播栽培を行うための土壌条件
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2017
研究担当者 冠秀昭
関矢博幸
大谷隆二
発行年度 2017
要約 下層土にグライ層が存在する水田では漏水が生じにくいため、乾田直播栽培が導入しやすい。下層土の透水性が高い水田では、地表面の鎮圧を行うことにより、漏水を防止することができるため、東北地方では71%の水田で乾田直播栽培が実施可能となる。
キーワード 水稲乾田直播栽培、漏水対策、適用性、鎮圧、透水性
背景・ねらい 生産コストを低減するために、水稲の乾田直播栽培の導入が進められている。乾田直播栽培を移植栽培のように各地で実施するには、適用可能となる土壌条件を明らかにする必要がある。乾田直播栽培では代かきが行われないため、入水後に漏水が生じる土壌条件では、乾田直播栽培の導入が困難となる。そこで、東北地方の5地域において、土層状態や栽培履歴の異なる20筆の水田で乾田直播栽培を行い,乾田直播栽培が可能となる土壌条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 乾田直播栽培において漏水を防ぐには、止水する土層の存在を把握することが重要であり、地表付近の土層(3~10cm)と下層土(35~75cm)の飽和透水係数を横軸と縦軸に配置し、2軸マトリクスで各水田を分類すると、止水層無し型、全層止水型、表面止水型、下層止水型に分類される(図1、表1)。漏水を防止するには、いずれかに止水層が必要となる。
  2. 止水層なし型では、従来のロータリシーダなどによる無鎮圧での栽培方式の場合には減水深が大きくなりやすい(圃場a、c)。よって、耕起後の無鎮圧状態から鎮圧することにより、地表付近の飽和透水係数は低下し、図1では左側に移行ことができる(圃場d~t)ため、特に止水層なし型では、播種前後に圃場面を鎮圧することによって表面止水型に移行させて、減水深を低減させることが効果的である(圃場d、h、i)。
  3. 止水層なし型であっても、土層内にグライ層が確認された水田では,減水深が20mm/d以下となりやすい。低鎮圧処理でも減水深が低いことから(圃場m、t)、漏水が生じにくいため乾田直播栽培が導入しやすく、無鎮圧や低鎮圧処理で実施できる可能性が高い。
  4. これまでの土壌データベースから類推すると、東北地方では、39%の水田において、鎮圧を伴わない従来の乾田直播栽培手法などが適用可能であり、その他の水田では、作業体系に鎮圧作業が組み込まれているプラウ耕鎮圧体系乾田直播などを行うことにより、さらに32%の水田で実施可能となる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 乾田直播栽培を実施する予定の水田で、鎮圧の必要性および排水機能の必要性を判断する際に利用できる。
  2. 本成果では、圃場面全体からの漏水である縦浸透を対象としており、畦畔からの漏水など横浸透については、畦塗りや畔際の鎮圧などにより対処することが必須となる。
  3. 土壌条件は過去の土壌データにより把握できるが、下層土の状態は圃場の利用履歴や畑転換年数によって畑地化が進行するなど、透水性やグライ層の状態が変化する場合が多いため,転換年数が多い水田などでは注意が必要であり、グライ層については実際に確認する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029105
カテゴリ 乾田直播 コスト 水田 水稲 データベース 播種

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