タイトル |
休耕地の畦畔や法面を省力的に除草管理する技術の比較 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2015~2017 |
研究担当者 |
好野奈美子
小林浩幸
土田邦夫
和田美由紀
敖敏
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発行年度 |
2017 |
要約 |
休耕地の畦畔や法面での雑草管理に使える抑草剤・除草剤、急速緑化、防草シートの各技術について、適用できる場面のほか、コストと省力性を提示する。畦畔の管理者は慣行の背負い式刈払機による除草効果とコスト、省力性を比較して技術を選定できる。
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キーワード |
休耕地、畦畔・法面、除草、抑草剤、急速緑化、防草シート
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背景・ねらい |
休耕地の畦畔や法面の除草は圃場内と一体的に除草管理ができない場合、圃場内に比べて労力や時間がかかる。畦畔、法面を省力的に除草管理する技術はいくつかあるが、まとめて提示、比較されたことがないため作業管理者は新技術に取り組みづらかった。そこで、休耕地向きの省力的な法面管理技術である除草剤・抑草剤、急速緑化のためのわら芝、防草シート利用技術の特徴を整理し、導入と維持管理に要する時間、コスト、抑草効果を比較検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 休耕地の畦畔管理技術の概要と選定の考え方を示す(表1)。これにより畦畔の種類や植生に応じて適切な除草方法を選ぶことができる。
- 除草剤、抑草剤、わら芝、防草シートの導入後の雑草植生を比較すると、防草シートは完全に雑草発生を抑制し、わら芝は春先にやや被覆が衰退するものの夏から秋にかけては十分に被覆し雑草を抑制する(図1)。除草剤の利用技術は少ない回数の散布で雑草を完全に枯死させる一方で、抑草剤の利用技術は散布回数が増加するものの植被を維持したまま草高を低く抑える。
- 各技術について導入時、維持管理時および年平均換算のコストおよび作業時間を示す(表2)。コストについて、防草シートやわら芝は導入コストが嵩むが、年平均では刈り払いとの差は小さい。除草剤および抑草剤利用技術のコストは刈り払いと概ね同等である。作業時間について、防草シートやわら芝は導入時に長時間の作業を必要とするものの維持管理のための作業はほとんど不要なため、年平均では作業時間は短い。除草剤、抑草剤利用技術は刈り払いよりも作業時間は短い。
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成果の活用面・留意点 |
- ここで紹介した技術の詳細は「除染後の省力的畦畔管理技術マニュアル」で説明している。このマニュアルは東京電力福島第一原子力発電所事故による旧避難指示区域において表土剥ぎ取り除染が行われ、営農再開を待機して保全管理をしている休耕地での活用を想定しているが、畦畔管理の各技術は全国の農地畦畔、法面に適用できる。
- これらの除草管理メニューは休耕地だけでなく耕作中の農地畦畔、法面にも適用できる。ただし、除草剤はラベルに書かれている使用基準にしたがい、周辺作物への飛散にも注意する。
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カテゴリ |
管理技術
畦畔管理
コスト
作業管理
雑草
除草
除草剤
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