野良イモ防除と環境負荷低減を両立する最適な土壌凍結深

タイトル 野良イモ防除と環境負荷低減を両立する最適な土壌凍結深
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2005~2017
研究担当者 柳井洋介
岩田幸良
廣田知良
発行年度 2017
要約 雪割りによる土壌凍結深の制御技術において、凍結する深さを30cm 前後に制御すると、バレイショの越冬を防ぎつつ、畑からの温室効果ガスの放出や肥料成分の流出も抑えられる。
キーワード 土壌凍結深制御、雪割り、融雪水浸透、硝酸態窒素、一酸化二窒素(N2O)
背景・ねらい 収穫漏れしたバレイショが越冬し雑草化する「野良イモ」が問題化したことに対応すべく畑を縞状に除雪する「雪割り」による土壌凍結深制御手法が開発され、道東地方で広く普及している。一方で、土壌凍結を深くし過ぎると、融雪水が土中に浸透し難くなることで、1)硝酸態窒素の作土からの溶脱が抑制されるが、2)融凍が遅れ春先の農作業の開始が遅れたり、3)土からの温室効果ガス(N2O)排出が春先に増大するなど、雪割りによる土壌凍結深の制御が生産性や環境に及ぼす影響が懸念される。そこで、野良イモ発生を十分抑えられる範囲で土壌凍結深をできるだけ浅く制御することで環境負荷を抑え生産性を高められるよう、北海道農業研究センターにおける十勝地方での火山灰土壌の畑で蓄積したデータを用いて土壌凍結深の制御目標値を決定する。
成果の内容・特徴
  1. 野良イモの発生は、年最大凍結深28cm以上でほぼ抑制できる(図1a)
  2. 土壌凍結深の増加に伴う融雪水の浸透量の割合の減少曲線(図1b)と、春先に硝酸態窒素が残存する割合の増加曲線(図1c)が土壌凍結深約33cmで交差することから(図2)、凍結深を33cmに制御することで春の農作業の遅れや地下水の硝酸汚染のリスクを低減し、かつ地力の増加効果が期待できる。
  3. 以上から野良イモ防除に効果的な農業生産性を高めつつ環境負荷を小さく抑える土壌凍結深は、約30cm(28cm~33cm)となる(図2)。土壌凍結深をこの範囲内に制御することにより、野良イモの発生が防止され、硝酸態窒素の流出低減による水質汚染の低減効果と地力維持が期待できると共に、凍結深がこれ以上深くなることにより融雪水の浸透が抑制されることで生じる春作業の遅れの防止、および土からの温室効果ガス排出抑制を図ることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:生産者、JA、コントラクター、普及組織
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道十勝地方、オホーツク地方。すでに十勝地方で実装済みである野良イモ対策の土壌凍結深制御のWEBシステムの活用で本技術は実現できる(2012年度普及成果情報http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2012/210a3_01_44.html)。
  3. 現在、十勝地方とオホーツク地方での雪割り推定実施面積は約5000haである。また、農食事業29017Cにおいて土壌凍結深制御の情報システムはオホーツク地方でも拡張の計画であり、野良イモ対策以外でも土壌の理化学性改善としても活用が予定されている。したがって、本成果の適用可能な普及面積はさらに数千ha 程度は見込まれる。
  4. 透水性の低い圃場では土壌凍結深が33cmでは融雪水が浸透しにくくなる可能性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029088
カテゴリ 環境負荷低減 コントラクター 雑草 春作 ばれいしょ 防除

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