木材の水分バランス

タイトル 木材の水分バランス
担当機関 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 齋藤 周逸
信田 聡
発行年度 2017
要約 気象データに基づいて木材平衡含水率を全国分布図として可視化し、地域性を明らかにしました。また、従来の値と比較した結果、都市部では、木材平衡含水率の平均が15%から13%へと低下したことが分かりました。
背景・ねらい 近年大幅に観測地点数が増えた気象データに基づいて木材平衡含水率を求め、全国分布図として精度よく可視化して地域性を明らかにし、これまで使われてきた木材平衡含水率と比較しました。木材平衡含水率は季節や場所によって変化し、その年平均は12 ~19%(平均15%)でした。全国平均15%という値は都市部のみで求めた従来の全国平均値と変わりませんが、今回求めた都市部のみの平均は13%であり、都市部で木材平衡含水率が低下していることが分かりました。この成果は、各地域での天然乾燥時の基礎データとなり、また輸入品を含めた木材製品の品質管理にも役立てることができます。
成果の内容・特徴 木材平衡含水率とは
木材を長時間にわたり大気中に放置すると、含有水分が一定値に近づき、平衡状態に達します。この時の含水率を木材平衡含水率と呼びます。木材平衡含水率は、温度と相対湿度の気象データから算出できます。日本国内各地の気 候条件は異なり、温度と相対湿度が異なるので、屋外における木材平衡含水率はその影響を受け、各地で異なります。 気象データから求めた木材平衡含水率は、温湿度が変動する中で木材が実際に平衡になる含水率と厳密には一致しませんが、その場所に十分な時間放置された木材が到達する含水率の目安となります。これまで、木材平衡含水率は、日本では平均15%、欧米では平均12%とされていました。

木材平衡含水率を知る意義
日本国内各地の気候条件が異なることから、木材を天然乾燥する場合の到達含水率は異なってきます。木材を放置した状態では木材平衡含水率以下に含水率が低下することがないので、この数値は各地域での天然乾燥時の目安となります。気乾状態の木材は、含水率が減少すると収縮し、増加すると膨潤して寸法変化が生じます。建築用構造材、内装材、家具、楽器等の最終製品により、要求含水率、許容寸法変化が異なるため、木材製品製造者はそれぞれに求められる含水率に調整しなければなりません。また、木材平衡含水率が各地域の気候や使用場所により異なる ため、木材製品製造者はそれを考慮して木材製品の含水率調整、保管、管理をする必要があります。このようなことから、日本国内各地の木材平衡含水率を把握することは、国産だけでなく輸入品を含めた木材製品の品質管理をする上で重要となります。

日本の木材平衡含水率の可視化
近年、気象観測システムが充実し、気象データの観測地点や経年値等の数は大幅に増えました。そこで、全国842地点のアメダス気象データの温度と相対湿度に基づいてそれぞれの地点での木材平衡含水率を算出しました。
これにより、日本全国平均の木材平衡含水率の精度が高まりました。日本の気候条件は季節ごとに変化するので、木材平衡含水率の全国平均は図1のように季節変動をします。その年平均は15%であり、戦前から使われている木材平衡含水率と変わりありませんでした。 また、図2に示すように、木材平衡含水率を全国分布図として精度よく可視化し、地域性を明らかにしました。日本の木材平衡含水率は、地域によって異なり、12 ~ 19%という幅広い範囲にあることが分かりました。

都市部の木材平衡含水率は低下傾向に
従来の木材平衡含水率15%という値は、都市部のみで測定した木材平衡含水率の平均値でした。その測定地点と同地点で今回算出した木材平衡含水率の平均は13%台で、低下していることが分かりました。この要因の一つとして、都市部では気温上昇と相対湿度低下の傾向がみられることが考えられます。都市部の木材平衡含水率が低下傾向にあるのに、今回の木材平衡含水率の全国平均の評価では15%と戦前から使われている値と同様の値となった理由として、増加した測定地点の影響が考えられます。木材平衡含水率の比較的高い寒冷地や山間部等が測定地点に追加されたため、それらの木材平衡含水率の値と低下傾向にある都市部の値が相殺されたと考えられます。

おわりに
木材平衡含水率は、天然乾燥時の基礎データとなり、また輸入品を含めた木材製品の品質管理の重要な指標となります。本成果において、木材平衡含水率を全国分布図として精度よく可視化して地域性を明らかにしたことにより、地域ごとのきめ細かな木材製品の品質管理が可能となります。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029071
カテゴリ 乾燥 季節変動

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