「コシヒカリ環1号」を用いたヒ素とカドミウムの同時低減技術の開発

タイトル 「コシヒカリ環1号」を用いたヒ素とカドミウムの同時低減技術の開発
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2015
研究担当者 石川覚
牧野知之
安部匡
荒尾知人
伊藤正志
原田浩司
中田均
西田一平
西村誠
徳永哲夫
白尾謙典
吉沢比英子
松山稔
発行年度 2016
要約 カドミウムをほとんど吸収しない水稲品種「コシヒカリ環1号」を落水期間を長めにしながら土壌の乾湿を繰り返す節水法で栽培すると、玄米カドミウム濃度はほぼ検出されずに、玄米無機ヒ素濃度は湛水管理に比べて、約45%減となる。
キーワード ヒ素、カドミウム、コシヒカリ環1号、節水栽培
背景・ねらい ヒ素は、環境中に広く分布する元素である。農耕地土壌にも天然由来のヒ素が含まれており、そこで生産された作物は微量なヒ素を含んでいる。特にコメは毒性の高い無機ヒ素の主要な摂取源であり、またコメ中の無機ヒ素の国際基準値(精米:0.2mg/kg、玄米:0.35mg/kg)が制定されたため、水稲の無機ヒ素吸収を抑制する技術開発が急務である。水稲の無機ヒ素吸収抑制には灌漑水を制限し、土壌を酸化的に保つ栽培管理法が有効であるが、そのような管理は逆にカドミウム濃度を上昇させてしまう恐れがある。一方、「コシヒカリ環1号」はいかなる栽培条件においてもカドミウムをほとんど吸収しない水稲品種である。
そこで、「コシヒカリ環1号」と水管理との組み合わせにより、カドミウムの吸収を抑えつつ、ヒ素の吸収を低減する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本成果は土壌特性や土壌ヒ素濃度の異なる9つの試験地(A~I)において、「コシヒカリ」と「コシヒカリ環1号」を図1に示す湛水区と節水区で栽培した時の結果である。節水区における落水期間(2~7日間)は、各試験地で土壌が適度に乾燥するように調整している。
  2. 玄米の無機ヒ素濃度は試験地によって大きく異なる一方、多くの試験地において節水栽培は両品種の玄米中無機ヒ素濃度を有意に低下させる(図2)。節水栽培による玄米無機ヒ素濃度の低減率の平均は、両品種ともに約45%である(図3)。「コシヒカリ」の玄米カドミウム濃度は節水区で上昇するが、「コシヒカリ環1号」はIを除き、検出限界以下である(図2)。
  3. 湛水区の「コシヒカリ環1号」、節水区の「コシヒカリ」および「コシヒカリ環1号」で収量が若干減少するものの、湛水区の「コシヒカリ」に比べて有意な差はない(図4)。
  4. 以上の結果、「コシヒカリ環1号」を節水栽培すれば、収量に大きな影響を与えずに、カドミウムの吸収を抑えつつ、ヒ素の吸収を低減させることが可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 過度の節水は玄米収量のみならず玄米品質の低下を引き起こす恐れがあるので、栽培期間中の降雨量や土壌の排水性に応じて、落水日数を調節しながら玄米ヒ素濃度の低下を目指す必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029056
カテゴリ 乾燥 栽培技術 栽培条件 水稲 排水性 品種 水管理

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