ソルガムの茎部への糖蓄積過程で発現するSWEET遺伝子群の発見

タイトル ソルガムの茎部への糖蓄積過程で発現するSWEET遺伝子群の発見
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2015
研究担当者 川東広幸
水野浩志
春日重光
発行年度 2016
要約 ソルガムの糖のトランスポーターをコードするSWEET遺伝子には葉で強く発現するSbSWEET8-1遺伝子と茎で強く発現するSbSWEET4-3遺伝子があり、これらの遺伝子産物が共同することにより葉で光合成された糖を効率よく茎部へ蓄積している。
キーワード ショ糖、トランスポーター、茎、SWEET遺伝子、転流
背景・ねらい ソルガムはその茎部に糖を蓄積する特徴があり、バイオエタノールの原料として利用されている。その一方で、多くのモデル植物はその茎部に糖をほとんど蓄積しないため、糖含量に関わる遺伝子は十分に明らかになっていない。ソルガムには他の植物にはない糖を蓄積する機構があるかもしれない。そこで本研究では、ソルガムが糖を蓄積する時期の網羅的な遺伝子発現解析を行い、その中から茎部に特異的に発現して且つイネに存在しない遺伝子の同定を目指した。
成果の内容・特徴
  1. ソルガムには糖のトランスポーターをコードするSWEET遺伝子が23個あり、組織や時期によって異なるSWEET遺伝子が発現する(図1)。
  2. SbSWEET4-3遺伝子は、茎部で強く発現する(図1)。またSbSWEET4-3遺伝子は進化の過程でイネとソルガムが分岐した後の遺伝子重複により生じている (図2)。したがって、SbSWEET4-3遺伝子は糖を蓄積する時期の茎部に発現し且つイネに存在しない遺伝子のひとつである。更に、SbSWEET4-3の229番目のアミノ酸残基がSIL-05(高糖性品種)でアスパラギン酸であるのに対して、BTx623(低糖性品種)ではグルタミン酸に置換されている。
  3. SbSWEET8-1遺伝子は、葉で強く発現する(図1)。SbSWEET8-1遺伝子は、シロイヌナズナの葉で光合成された糖を細胞外に排出する機能があるAtSWEET11またはAtSWEET12遺伝子のオルソログである。
  4. ソルガムでは、葉のSbSWEET8-1と茎のSbSWEET4-3がそれぞれの組織で糖の輸送を担うことにより、葉で作られた糖が茎部へ効率よく蓄積される(図1)。
  5. ソルガムが糖を蓄積する時期の葉、茎、種子では、SWEET遺伝子とは別のステップの糖の輸送に関わるSUT遺伝子、糖の生合成に関わるSPS遺伝子も強く発現している。また、SWEET遺伝子群は、同時期に種子へのでんぷんの蓄積や花粉の栄養供給にも重要な役割を果たしている。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で明らかになったSbSWEET8-1遺伝子とSbSWEET4-3遺伝子を用いて糖の転流効率を変化させることにより、茎部の糖含量向上に貢献する事が期待できる。
  2. 様々な品種間でのSWEET遺伝子の多型と糖含量の関連について調べ、遺伝資源として利用していくことが重要である。
  3. 光合成など植物の糖の生産能力の向上に関連する遺伝子との併用により、より効率的な育種選抜が可能になる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010029032
カテゴリ 育種 遺伝資源 ソルガム 品種 輸送

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