玄米試料を用いた放射能測定技能試験による国内検査機関の技能レベルの確認

タイトル 玄米試料を用いた放射能測定技能試験による国内検査機関の技能レベルの確認
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門
研究課題名
研究期間 2012~2016
研究担当者 濱松潮香
八戸真弓
海野泰裕
古川理央
三浦勉
柚木彰
発行年度 2016
要約 農産物や食品の放射能測定に対する信頼性の向上を支援するために、2013年以降4年間に6回の技能試験を開催したところ、参加したのべ477機関の国内検査機関では概ね妥当な放射能測定が行われている。
キーワード 放射性セシウム、技能試験、精度管理、認証標準物質
背景・ねらい 東京電力福島第一原子力発電所事故以降にガンマ線スペクトロメトリによる放射性セシウム(134Csと137Cs)測定を実施する機関が急増し、これらの機関が実施する農産物や食品の放射能測定に対する信頼性の向上のために精度管理の充実が求められた。これらの社会的要求に対応すると共に放射能測定の国内の現状を把握するため、認証標準物質の開発とその試料調製法を利用し、各検査機関の放射能測定値を比較する技能試験を実施して、検査機関での放射能測定の精度管理技術の向上を目指す。
成果の内容・特徴
  1. 認証標準物質の製造と同じ方法で均質化し、値付けした玄米試料を用いている。アルミパウチ袋に入れて配付試料を参加者がU-8容器に充填した第5回と第6回を除き、容器に玄米試料を0.94 g/cm3の密度で充填した状態での試料回覧により技能試験を実施している(図1)。なお、第1回と第4回では測定後すぐに参加者が結果を確認できるように、参照値は試料回覧時に開示したが、報告値には参照値の開示の影響と思われる偏りはみられない。
  2. いずれの技能試験でも、報告値の中央値と試料参照値の比較では偏りは見られず、中央値と報告値のばらつきの範囲である正規四分位範囲(NIQR)との和の範囲と、参照値とその拡張不確かさの和の範囲は概ね一致している(表1)。これは、これらの試験に参加した食品・農産物の放射能測定を実施している民間検査機関や地方自治体の検査機関、農業・食品製造・流通業者の検査部署で概ね妥当な測定が行われていることを示している。
  3. 第2回と第3回の結果から、U-8容器(試料81 g)での測定と2 Lマリネリ容器(試料1880 g)での測定とを比較すると、試料量が多いとNIQRは低く(表1)、これは試料の放射性セシウムの総量によりばらつきが小さくなることを示している。一方、第5回と第6回でのNIQRの違いは、第5回で参加機関が任意の測定時間(平均43,453秒)であったのに対し、第6回は測定時の計数を一定以上にする測定時間を参加機関自身で決めるようにしたため、測定時間が第5回より長くなり(平均116,000秒)、ばらつきが小さくなったことを示している。
  4. NIQRを比較すると、高純度ゲルマニウム半導体検出器(HPGe)の結果が、マリネリ容器を用いた試料シンチレーション放射能測定器(シンチ)での結果よりも低く、ばらつきが小さく測定されている(表1)。
  5. 第5回と第6回の試験では試料充填や放射能測定における拡張不確かさも併せて報告させ、不確かさを含めた評価を行う式(1)で求められるEn 数で報告値を評価した。測定の見直しを促す評価となった(|En|> 1)割合は、第5回では134Csで11 %、137Csで5 %、第6回ではそれぞれ12 %と8 %である。NIQRが小さく報告値のばらつきが小さい第6回でも、見直しが必要とされる割合がほぼ同じあることから、参加機関全体での測定技術は向上している。
成果の活用面・留意点
  1. 技能試験に参加することで、妥当な放射能測定が行われていることを客観的に示すことができる。
  2. 技能試験は、参加する測定者及び機関全体の技能維持と確認に有効である。
  3. 精度向上に必要な測定手順や機器取り扱いにおける注意喚起や測定者の人事異動による再学習の機会となるため、定期的・持続的な技能試験の参加が望ましい。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028995
カテゴリ 管理技術 測定技術

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