土壌の磁性体成分量に基づく植物試料への土壌混入量の推定法

タイトル 土壌の磁性体成分量に基づく植物試料への土壌混入量の推定法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究課題名
研究期間 2013~2016
研究担当者 須永義人
原田久富美
発行年度 2016
要約 土壌中の磁性体成分量を測定することにより、植物試料に混入した土壌量を簡易に推定できる。磁性体成分量は植物試料中に含まれる放射性セシウムが土壌由来であるかどうかを示す指標として利用可能である。
キーワード 磁性体、飼料作物、土壌混入、放射性セシウム
背景・ねらい 放射性セシウム(RCs)が沈着した地域では、飼料の暫定許容値よりも高濃度のRCsが土壌中に含まれる場合があり、植物体の倒伏や風雨による植物体への土壌付着や機械作業等による土壌混入は収穫物のRCs濃度に影響する要因と考えられる。従来、土壌混入については土壌中のチタンや放射性元素を指標として評価されてきた。本研究では煩雑な灰化作業や特殊な分析技術を必要としない、より簡易な方法として、土壌中の磁性体成分の評価に基づく植物試料への土壌混入量の推定法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 土壌および植物試料の磁性体成分量は図1に示す方法に基づき、マグネチックアナライザー(MA-1040; Micromeritics製)で測定する。なお、本機による測定値は鉄換算値として表示される。
  2. トウモロコシ(Zea mays L.)茎部およびイタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)地上部の粉砕試料を用いた添加回収試験において、微粉砕した土壌(褐色低地土、磁性体成分量5.91g/kg含有)を12.3~200g/kg含むように添加したとき、土壌添加量と磁性体成分量は直線関係にあり(決定係数1.000)、同法による回収率はトウモロコシ茎部試料85~97%、イタリアンライグラス試料87~97%と高い(図2)。これらのことから磁性体成分量は植物試料に混入した土壌量の指標として利用できる。
  3. 5県(岩手、福島、茨城、栃木、宮崎)の水田および畑地より採取した土壌14点(黒ボク土、灰色低地土、褐色低地土)には平均6.34g/kg(範囲1.27~16.1g/kg)の磁性体成分が含まれており、本法は多くの土壌で適用可能と考えられる。
  4. 土壌中にRCsが含まれる圃場で栽培した飼料用ライムギについて、栽培期間中に倒伏した植物体試料からは磁性体成分が検出される一方で、倒伏しなかった試料からは磁性体成分は検出されない(図3a)。磁性体成分量に基づいて土壌混入量を推定すると、ライムギ試料の土壌混入量が増加するにつれて、試料中のRCs濃度は直線的に上昇しており、倒伏によってRCsを含む土壌が混入することにより収穫物中のRCs濃度が影響を受ける(図3b)。
成果の活用面・留意点
  1. 放射性Cs対策が必要な地域において、RCsの高い植物試料に対する土壌混入の影響を簡易に評価できる。現場において植物体のRCs濃度の上昇要因を明らかにするための手法のひとつとして活用できる。また、土壌を介した微量元素などの物質循環に関わる研究分野においても利用が期待される。
  2. 土壌混入量の評価は植物体周辺の表層土壌と植物体に付着している土壌が同質であるという仮定に基づいて推定する。
  3. 研究の一部は農林水産省委託プロジェクト「農地・森林等の放射性物質の除去・低減技術の開発(放射能プロ)牧草・飼料作物における放射性セシウム移行要因の解明および移行低減対策技術の開発」において実施した。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028945
カテゴリ イタリアンライグラス 飼料作物 飼料用作物 水田 とうもろこし 分析技術 ライ麦

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