オリエンタル系ユリにおける温度と個体光合成および呼吸、乾物蓄積との関係

タイトル オリエンタル系ユリにおける温度と個体光合成および呼吸、乾物蓄積との関係
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門
研究課題名
研究期間 2006~2015
研究担当者 稲本勝彦
矢野孝喜
長菅香織
山崎博子
発行年度 2016
要約 オリエンタル系ユリの個体光合成の適温は、20~25°Cの範囲にある。夜温を15°Cとし、昼温を28°C、24°C、20°Cとする、あるいは昼温を25°Cとし、夜温を25°C、20°C、15°Cとして栽培すると、昼温および夜温が低いほど開花までの乾物蓄積が促進される。
キーワード オリエンタル系ユリ、温度、光合成、呼吸、乾物蓄積、切り花品質
背景・ねらい オリエンタル系ユリは、日本のユリ切り花生産における重要品目であるにも関わらず、栽培環境と生育および切り花品質との関係についての基礎情報が乏しく、特性が異なると考えられるテッポウユリ等の情報に多くを頼っているのが現状である。本研究では、光合成による乾物蓄積が切り花品質を決定する重要な要因と考え、オリエンタル系ユリ主要品種「シベリア」の生育段階ごとに、温度と光合成および呼吸との関係を評価する。また、異なる昼夜温を設定して栽培し、乾物蓄積と切り花品質に及ぼす影響について解明する。
成果の内容・特徴
  1. 個体あたり光合成速度は、展葉期(定植後27日)では低いが、発蕾期(定植後48日)に向かって急速に高まり、開花期(定植後92日)ではさらに高まる(図1A)。個体あたり光合成速度の適温は、飽和に近い光量である700850 μmol・photons・m-2・s-1の領域で2025°Cである(図1A)。
  2. 個体あたり呼吸速度は、展葉期ではきわめて低いが、発蕾期には高まり、開花期はそれと同等となる(図1B)。いずれの生育段階でも、温度の上昇にともなって呼吸速度はほぼ直線的に増加する。
  3. 夜温(18:006:00)を15°Cとし、昼温(6:0018:00)を28°C、24°C、20°Cの3段階で栽培すると、低昼温ほど到花日数が長くなる(表1)。開花時における全体乾物重および花蕾、りん茎、茎出根の乾物重は昼温20°Cで最大となる(図2A)。また、昼温が低くなると葉、茎の乾物率が高くなり、比葉面積(葉面積/葉の乾物重)が低くなる(表1)。
  4. 昼温を20°Cとし、夜温を25°C、20°C、15°Cの3段階で栽培すると、低夜温ほど到花日数が長くなる(表1)。開花時における全体乾物重および茎の乾物重は夜温15°Cで最大となる(図2B)。また、夜温が低くなると葉の乾物率が高くなり、比葉面積が低くなる(表1)。
  5. 茎長は昼温を下げるとやや短くなり、夜温を下げると長くなる(表1)。
  6. 2、4より、開花期における乾物蓄積には、昼温による個体あたり光合成速度、夜温による個体あたり呼吸速度が強く影響していると推察される。設定した温度の範囲において、昼温および夜温が低いほど充実した切り花となり、品質面で優れる。
成果の活用面・留意点
  1. 切り花品質向上のための、遮光や細霧、ヒートポンプ冷房等による温度管理技術に活用される。
  2. 光合成の評価は、低温貯蔵りん茎を2010年3月24日に直径25cmのワグネルポットに定植前発根処理を行わず定植し、最低15°Cのハウスで栽培した植物を用いた。
  3. 光合成測定の光源には3波長型蛍光灯を用いた。
  4. 昼温の影響評価は、低温貯蔵りん茎を2010年7月29日より610°Cで定植前発根処理を行った後に、8月30日に直径21cmポットに定植し、屋外型恒温装置で栽培して行った。9月27日まですべて昼温20°C夜温15°Cで栽培し、以後温度区を設定した。
  5. 夜温の影響評価は、低温貯蔵りん茎を2009年5月27日より5°Cで定植前発根処理を行った後に、7月16日に直径21cmポットに定植し、ただちに温度区を設定した屋外型恒温装置で栽培して行った。
  6. 昼夜温を同時に変化させた結果については平成25年度の、光量を変化させた結果については平成27年度の研究成果情報として公表されている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028933
カテゴリ 温度管理 栽培技術 品種 ヒートポンプ ゆり

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