リンゴ高分子プロシアニジンによるマウス腸内細菌叢の変化と体重増加抑制

タイトル リンゴ高分子プロシアニジンによるマウス腸内細菌叢の変化と体重増加抑制
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究課題名
研究期間 2013~2015
研究担当者 升本早枝子
庄司俊彦
三浦富智
寺尾明莉
山本裕司
向井孝夫
発行年度 2016
要約 リンゴ由来プロシアニジン類の腸内細菌叢の変化と肥満予防効果を検討する。5量体以上の高分子プロシアニジンを摂取させた肥満マウスでは、体重増加が抑制されるとともに、腸内細菌の一種であるアッカーマンシア属菌が増加し、慢性炎症の改善が見られる。
キーワード リンゴ、高分子プロシアニジン、腸内細菌、アッカーマンシア属菌
背景・ねらい 近年、腸内細菌叢などの腸内環境が肥満や糖尿病などの生活習慣病に関与していることが報告され、腸内環境を介した肥満予防が注目されている。プロシアニジン類はカテキン類やその異性体であるエピカテキンが多数重合したポリフェノールの一種で、リンゴに含まれる。プロシアニジンの生体利用性は低いことから4量体以下の低分子のプロシアニジンが体重増加の抑制や脂質代謝の制御などの生体調節機能に関与していることが知られているが、5量体以上のプロシアニジンの効果は不明である。本研究では、プロシアニジン類の重合度に着目し、腸内細菌叢の改善を介した肥満予防効果の解明を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. リンゴ果汁から調製したプロシアニジン類を単量体から4量体の低分子画分(OP)と高分子画分(PP)に分離し、高脂肪・高ショ糖食(HFHS)を摂取させたC57BL/6Jマウスに20週間摂取させた。OP摂取と同様にPP摂取によって、体重や肝臓重量の増加が抑制される(図1)。
  2. 16S rRNAを用いた次世代シーケンサーにより解析したマウス盲腸内容物中の腸内細菌叢を解析したところ、肥満によって増加する指標であるFirmicutes門/Bacteroidetes門比は、HFHS摂取によって増加し、PP摂取により減少する(図1)。また、PP摂取によって、腸管バリア機能を増強することが報告されているアッカーマンシア属菌が有意に増加する(図2)。
  3. PP摂取は腸管バリア機能に関係するOcculidinやZO-1の遺伝子発現を有意に増加させる(図3)。
  4. PP摂取による効果は(図4)、慢性炎症に関与する血中のリポポリサッカライド(LPS)を減少させ(p < 0.05 vs HFHS群)、腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor, TNF-α?)とインターロイキン-6(IL-6)の炎症性サイトカイン量を有意に減少させる(p < 0.05 vs HFHS群)。
  5. 高分子プロシアニジンの摂取は腸内細菌叢を介して、腸管バリア機能を改善し、炎症の原因物質であるLPSの流入を抑制し、肥満予防効果に関与している可能性がある。
成果の活用面・留意点
  1. 対象:食品製造業、外食産業、流通業等の実需者、育種・生産者および食品の機能性または開発に関わる研究者。
  2. 本研究成果は動物モデルでの試験結果であり、ヒトでの効果については今後検証する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028908
カテゴリ 育種 機能性 りんご

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